鉄がさびる(錆びる)ことと酸化の関係は?
なぜ鉄はさびるのでしょうか?
さびる(錆びる)とは、金属が空気中でゆっくりと酸化することです。ですから、さびるとは酸化という化学変化の中の一つの現象といえます。
酸化とは物質が酸素と結びつくことです。酸素と結びついた物質を酸化物といいます。それで、錆びた鉄も酸化物といえます。
酸化物と化合物 … 2種類以上の物質が結びついたものを化合物といい、その中でも、酸素と結びついたものを酸化物といいます。
さびるといえば鉄を思い浮かべるにではないでしょうか。
なぜ鉄が酸化するのかというと、空気があるからです。空気中には酸素が豊富にあります。鉄に水分が付着すると、その水をきっかけに、水に溶けだした鉄と水に含まれる酸素によって、さび(酸化)がゆっくりと進みます。
つまり、鉄がさびることは、ごく当たり前で自然のことで、元の姿に戻ろうとしているだけなのです。
では、自然界にはどんな鉄の酸化物があるでしょうか?
それは「鉄鉱石」です。よく貿易品目の話で出てきますが、鉄鉱石は、鉄の原料になる重要な鉱産資源なのです。つまり鉄鉱石は、鉄と酸素の化合物なのです。鉄鉱石は世界中で採れる比較的安価なものですが、そのままでは使用できないので、これらを還元して鉄を取り出しています。
還元とは … ある物質から酸素(O2)が奪われること、またはその酸素が水素と化合して水になる反応のことです。金属に関していうと、物質(金属)から酸素を奪うという意味で用いられています。
金属の酸化については、以下の関連した記事をご覧ください。

さびる金属とさびない金属
鉄はさびるというイメージがありますが、すべての金属がさびるわけではないのです。中にはさびない金属もあります。下の表で確認してみましょう。

表を見てみると、同じ金属でもかなり性質が異なることが分かります。
この表は「イオン化傾向」で並べたものです。左がイオン化傾向が大きく、右がイオン化傾向が小さくなります。イオン化傾向とは、金属原子が電子を失ってイオン(陽イオン)という状態になりやすいかどうかということです。
イオン化傾向が大きいということは、それだけ原子に化学変化が起きやすいということです。つまり右に行けばいくほど、物質として安定していて、左に行けばいくほど、物質として安定していないといえます。
物質として安定しているほど、さびません。金・白金(プラチナ)・銀などがさびない金属になります。ちなみに、さびない安定した金属は、「貴金属」といって高い価値を持ちます。
イオン化傾向が大きくになればなるほど(表の左に行くほど)、錆びやすい金属かというと、実はそうではありません。
例えば、鉄とアルミニウムを比べると、アルミニウムの方がイオン化傾向が大きいので、錆びやすい性質を持っていますが、実際に放置しておくと、鉄の方が錆びやすいです。その理由は、アルミニウムは確かに錆びるのですが、表面の酸化被膜だけでとどまって、その薄い緻密な被膜自体が内側を守ってくれる性質があるので、結果的に内側に進行しにくくなるからです。
上の表は、あくまでもイオン化「傾向」の順番に並んでいるだけで、さび等の実際に起きる現象は、金属それぞれの性質によるのです。
表の中に水素(H2)もイオン化傾向の中に含まれていますが、水素はもちろん金属ではありません。水素も金属と同じように陽イオンになります。イオン化傾向の目安として置かれています。
以下のような疑問はどうでしょうか。
銀が錆びないとすると、酸化銀はどうやってできるのかな?
銀は上の表の通り錆びません。
酸化銀は、硝酸銀と水酸化ナトリウムを反応させると、そこから最終的に酸化銀を取り出すことができます。少し特殊なことをしないと作りだせません。
ちなみに、銅や鉄のように、銀を加熱しても、銀・酸素のつながりは弱いので、それだけでは酸化銀になりません。
さびを防ぐための工夫
せっかく還元して金属にしたものも、時間が経過すると、酸化してしまいます。酸化するということは、金属の性質が失われて金属の強みがなくなってしまうのです。さびてボロボロになってしまった金属は、耐久性が落ちて使えません。これを防ぐための努力も行われています。
どうすれば、さびを防げるでしょうか?
簡単にいると、空気と触れないようにすれば、さびを防げます。ではどのように空気と触れないようにするのでしょうか? 代表的なものが以下の方法になります。
- 表面に塗装をします(ペンキを塗る)
- さび止めを塗る
- めっき(メッキ)加工を施す(金属の表面に別の金属の膜をつくる)
- 合金にする(例:ステンレスは、鉄にその他の金属を混ぜて、さびにくくする)
- 金属そのものをさびさせる(例:アルミニウムは、表面の酸化被膜が内側を守る)
めっきとは … イオン化傾向が低い金属の外側(表面)に、イオン化傾向が高い金属で覆うことです。これによって、イオン化傾向が高い方が外側で先に酸化することで、内側の金属を保護してくれますし、外側の層は、反応することによって強くなります。代表的なめっきは、鉄に亜鉛を覆う組み合わせです。
元素の周期表については、以下の記事をご覧ください。



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