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【化学】分子をつくる物質と分子をつくらない物質 何が違うのか?

学習Q&A 化学
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原子とは

まず原子から考えてみましょう。

原子とは物質をつくる最小単位の粒子のことです。

すべての物質は原子からできています。そして原子には様々な種類があります。これを元素といいます。これまで認められている元素は118種類になります。天然のもの(89種類)もあれば、人工のもの(29種類)もあります。人類は科学の進歩によって、新たな元素を多く生み出してきたのです。

例えば私たちヒトは、どんな種類の原子で構成されているでしょうか?

ヒトは、炭素原子が50%、酸素原子が20%、窒素原子・カルシウム原子などが数% で構成されています。人間は複雑な生命体に見えますが、実は身近な物質でつくられているのです。

こうして、様々な原子の種類によって物質は成り立っているということが分かります。

分子とは

次に分子について考えてみましょう。分子とは何でしょうか? 

分子とは複数の原子からできている物質のことです

ここで代表的な分子を見てみましょう。分子の種類は何百万種類といわれていて、ぞの種類はいくらでもあります。しかし学校ではその内のほんの少しだけを学習します。

身近な分子の例として、水素(H2)、酸素(O2)、水(H2O)、二酸化炭素(CO)、アンモニア(NH3)などがあります。次のモデル図を見てください。

分子をつくっている物質のモデル図の例(水素分子・酸素分子・水分子・二酸化炭素分子・アンモニア分子)

このイラストのように原子が結びついて分子を形成しています。

ここで、こんな疑問が出てきます。

酸素分子はなぜ2個の原子がつながっているの?

私たちが「酸素」と呼んでいる物質は、酸素原子2個で酸素分子1個をつくっています。
なぜ酸素原子1個だけではだめなのかというと、酸素原子は2個集まるととても安定した状態を保てるからです。酸素原子1個分は、あくまでも部品のようなもので、2個ではじめて「酸素」という物質が完成するのです。それで、一般的に物質の酸素というとO2と表します。

ここまでで、原子と分子を考えることができました。

しかし、全ての物質が分子をつくるわけではありません。これは一体どういうことでしょうか?

分子をつくる・つくらない とは

物質は、分子になる(分子をつくる)物質分子にならない(分子をつくる)物質に分けることができます。これがどういう意味なのか調べてみましょう。

例をあげた方がイメージしやすいと思いますので、次の表に「分子をつくる物質」と「分子をつくらない物質」の例をいくつかあげてみます。

分子をつくる物質の例水素(H2)、塩素(Cl2)、酸素(O2)、窒素(N2)、アンモニア(NH3)、水(H2O)、塩化水素(HCl)、二酸化炭素(CO2) など
分子をつくらない物質の例銅(Cu)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、塩化ナトリウム(NaCl)、酸化銅(CuO)、鉄(Fe)、硫化鉄(FeS) など
※ナトリウムやマグネシウムは金属の仲間です。

上の表から何が分かりますか? 以下のように区別することも可能です。

金属が関係していないもの = 分子をつくる物質が多い
金属そのものや金属が関係しているもの = 分子をつくらない物質が多い

この区別については、中学校レベルの学習範囲内では使えますが、多くの物質があるので、それぞれに例外があります。あくまでも一つの目安として考えてください。

このように、金属に注目して分けることができます。中学校レベルであれば、このように分けることも可能です。ですから、金属が関係している物質は分子をつくらない物質が多いといえます。

分子をつくらない物質って何?

例えば、酸化銅は酸素原子1個と銅原子1個で分子をつくっているように見えます。しかし、実際はそのように存在してはいません。

下のモデルのイラストを見てイメージを深めてみましょう。

分子をつくる物質を見てみると、化学式そのものの形で存在していることが分かります。その形でグループのように行動をしているのです。これが「分子をつくる物質」という意味です。

一方で、分子をつくらない物質を見てみると、化学式そのものの形は、巨大なかたまり全体(構造体)のたった1個の原子や最小単位(化学式の部分)を表しているのです。このように、かたまりの中の一部だけを見ているだけなので、それだけで存在していないことが分かります。これが「分子をつくらない物質」という意味です。

分子をつくる物質と分子をつくらない物質の違いもモデル図で示している。

ここで例外をあげておきます。
炭素(C)は非金属元素ですが、分子にはなりません。なぜかというと、炭素は巨大な構造体によって、ダイヤモンドや黒鉛(鉛筆やシャーペンの芯の材料)になっているからです。上のモデル図でいうと、右側の仲間に分類できます。
炭素は興味深いことにつながるパターンの違いだけで、同じ物質なのに高価なダイヤモンドになったり、身近な文房具になったりします。いずれにしても、炭素の化学式 C は巨大な構造物の一つを見ていることになるので、そういう意味で分子をつくっていないといえます。

分子をつくらない物質の化学式

分子をつくる物質は、そのグループ(単位)をそのまま化学式として表します。

酸素(O2)、水(H2O)、二酸化炭素(CO)、アンモニア(NH3)などがそうです。

分子をつくらない物質は、どのように化学式を表すのでしょうか?

例えば、酸化銅はCuOになります。実際はCuOのパターンが連続して巨大な構造体をつくっていますが、とうてい数を数えることは不可能なので、最小単位だけを見て化学式をつくります。

銅(Cu)の場合もそうなります。実際の銅も銅原子がつながっていって巨大な構造体をつくっていますが、数をとうてい数えることは不可能なので、1個だけを見て化学式をつくります。

つまり銅の場合は、元素記号(Cu)がそのまま銅の化学式(Cu)になります。単独の金属類は基本的にそのように表します。酸化銅などの金属系の物質は、その組み合わせの最小単位だけで化学式を表します。

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コメント

  1. yvb より:

    金属そのものや金属が関係しているもの = 分子をつくらない物質

    とありますが,塩化スズ(Ⅳ)は分子性物質だそうです(駿台文庫の阪大の過去問集の解説にそう書いてありました)

    • ま~さん ま~さん より:

      yvb様
      貴重な情報ありがとうございます(_ _)
      確かに塩化スズ(Ⅳ)【化学式:SnCl4】などは、五原子分子として分類されています。
      本文は、それに合わせて加筆・修正させていただきます。

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