炭酸水素ナトリウムは炭酸水素ナトリウム・水・二酸化炭素になる
なぜ炭酸水素ナトリウムは、炭酸ナトリウム・水・二酸化炭素の3つに分解されるのでしょうか?
炭酸水素ナトリウム → 炭酸ナトリウム + 水 + 二酸化炭素
この式を詳しく見てみましょう!
化学反応式で表しますと、 2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2 となります。
化学反応式を見ただけでは、ちょっとイメージしにくいかもしれません。数字とアルファベットばかりの化学反応式だと微妙、、、という場合は、原子のモデルで見てみるとイメージしやすくなります。

モデルを見ると左辺と右辺で原子の組み合わせが変わっただけということが分かります。左辺と右辺で原子の数はすべて同じです。念のために原子を数えてみましょう。ナトリウム原子2個・酸素原子6個・炭素原子2個・水素原子2個が、左右の両辺にたしかにあることが確認できます。ではなぜ組み合わせが変わったのでしょうか?
難しいことは高校の化学で学習しますが、原子にはお互いの結びつき方に優先順位のようなものがあって、お互いがより強い絆の方の原子どうしで結びついてしまうのです。炭酸水素ナトリウムが2組集まると、このように原子の結びつき方が入れ替わって右辺のようになります。重要なのは炭酸水素ナトリウムが2組必要だということです。炭酸水素ナトリウムが1組では何も起こりません。それで左辺には係数の2をNaHCO3の前につけます。係数ひとつにもちゃんとした意味があるのです。
このように炭酸水素ナトリウムを分解すると、以上の3つの物質ができることが分かります。
なぜ炭酸水素ナトリウムは熱で分解される?
炭酸水素ナトリウムは熱を加えると結びつき方が不安定になります。言い換えれば炭酸水素ナトリウムは熱に弱い化合物なので、熱によってばらばらに分解されてしまうのです。一方で熱によって分解することがほぼ不可能な物質もあります。それは水です。そのため水は電気分解する必要があります。こちらについては、別で学習します。
中学校では、熱分解と電気分解の2種類の分解を学習します。熱によって原子どうしの関係がばらばらになってしまうのが炭酸水素ナトリウムです。炭酸水素ナトリウムは熱分解の代表例として必ず学習しますので、よく覚えておきましょう。
なぜホットケーキはふくらむのか?
炭酸水素ナトリウムは何に使用されていますか? 色々な場面で活躍しています。自宅では、主に料理・掃除などで活躍しています。
例えば、炭酸水素ナトリウムを主な成分とする「重曹(じゅうそう)」は、「ベーキングパウダー」という膨張剤の中に入っています。炭酸水素ナトリウムの熱分解のおかげで、おいしいお菓子をつくることができるのです。
上で考えた化学反応式より、炭酸水素ナトリウムを加熱すると3つの物質が発生することを学びましたが、その中の二酸化炭素は気体なので体積が非常に大きくなります。体積が大きいということはその分ホットケーキの中に二酸化炭素の気泡がたくさんできて、その分ふくらむのです。それでホットケーキをつくるとき、ベーキングパウダーを入れるとふっくらと仕上がるわけです。

この他に炭酸水素ナトリウムは掃除などのさまざま場面で活躍しています。理科の化学変化は、一見関係なさそうなことに思えますが、実は私たちの生活に身近に関係が深いものがたくさんあります。
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