適地適作とは?
「適地適作」とは、その土地の自然条件(気候・土壌・地形など)に最も適した農作物を栽培することです。これにより、農作物の能力が十分に発揮されるので、効率良く収穫することができ、収穫量を確保することができます。
日本を含めて世界の様々な場所でこの考え方が取り入れられていますが、とりわけ広大な国土を持つアメリカ合衆国では、この考え方に基づいて農業地帯が区分されています。
この記事では、アメリカ農業の大きな特徴である適地適作について解説します。
どんなメリット・デメリットがある?
適地適作には、どのようなメリットがあるでしょうか?
- 土地に適している農作物により、面積当たりの収穫量の増加が見込まれるので、高い採算性を期待できます。
- 人手、農薬、肥料などの余分なコストを避けることができます。(土地に適していない農作物を育てなければいけない場合、その土地の状況に合わせるために、より多くの手間がかかってしまいます。)
- 良い条件で育てられた農作物は、栄養価が高くて品質が良いので、多くの消費者の需要を満たすことができます。
一方、どのようなデメリットがあるでしょうか?
- その土地で栽培される農作物が、特定のものに限定されてしまいます。
- 栽培地が都市部などから遠く離れている場合は、輸送コストがかかることがあります。
メリット・デメリット以外にも、このような問題があります。
近年では、地球温暖化などの気候変動の影響によって、農作物の栽培適地が変化しつつあります。これに対応するために、栽培適地自体を移動させたり、新たな変動に適応できるような品種改良が行われたりしています。
なぜアメリカでは適地適作が行われるのか?
アメリカ合衆国は広大な国土を持っているために、地域によって自然条件が大きく異なります。ちなみにアメリカの国土面積は約983.4万平方キロメートルで、ロシア、カナダに次いで世界で三番目に大きな国です。日本(約37.8万平方キロメートル)の約26倍になります。
このために国土の中は、亜寒帯・温帯・乾燥帯・熱帯などの様々な気候帯に分かれています。それによって、気候・土壌・植生なども異なります。
自然条件による変化があるために、それぞれの土地に合った育ちやすい農作物も異なります。このような多様な環境の中で、適地適作をする必要があるのです。
アメリカで適地適作をするメリットは上記にあげたものがありますが、デメリットについてはどうでしょうか?土地によって栽培される農作物は限定されますが、国土が広大なので、大規模な農業によって大量の農作物を栽培できます。これによって輸送コストも最小限に抑えることができます。
歴史的な背景からも、アメリカで適地適作が行われた理由が分かります。1492年にコロンブスが西インド諸島に到達して以来、新大陸(南北アメリカ大陸)に本格的な進出が始まりました。これらの土地は、本国があったヨーロッパよりも広大な農地で、少人数で管理しなければなりませんでした。そこでなるべく最小限の人手で、効率を追求した農業を進めていく必要があったのです。
アメリカの農業分布
アメリカでは、地域ごとに採算性の高い農作物が効率良く栽培されています。
企業や個人による大規模な農業経営が行われています。また、わずかな農業従事者によって、非常に高い労働生産性が実現されています。
小麦は、西経100度線上にあるグレートプレーンズなどの大平原で栽培されています。また、とうもろこしは、主に中西部で生産されています。世界三大穀物のうち、小麦ととうもろこしが大量に適地栽培されています。米はカリフォルニア州や南部の州で栽培されています。
また一般的に比較的涼しい土地が適している酪農は、亜寒帯に属している五大湖周辺でさかんです。
降水量が少なく乾燥している西部では、肉牛などの放牧が広範囲にわたって行われています。さらに育った肉牛が大規模肥育場に集められて、出荷を待ちます。
地中海性気候(温帯)に属しているカリフォルニア州などでは、温暖な気候を利用して地中海式農業が行われていて、果樹・野菜などが栽培されています。
南部では、古くから綿花が栽培されてきました。
北部・南部の大平原 …… 小麦(冬小麦・春小麦)
中西部・五大湖周辺 …… とうもろこし・大豆
大西洋岸・五大湖周辺 …… 酪農
太平洋側(カリフォルニア州) …… 地中海式農業(オレンジ、オリーブ、ぶどう)
南部 …… 綿花
西部 …… 放牧・灌漑農業
西経100度付近 …… 大規模肥育場


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