それぞれの発電所の特徴
日本には、主に水力・火力・原子力発電所があります。これら3つの発電所で、日本の発電量のほとんどを占めています。普段電気を当たり前のように消費していますが、私たちの生活は、日本各地にある様々な種類の発電所によって支えられています。
水力発電所
日本で水力発電所というとダムを思い浮かべるのではないでしょうか?では、ダムにはどんな役割があるのでしょうか?
- 生活・工業・農業用などのための水を確保すること。
- 豪雨などのさいに、大量の水が川に流れると水害につながります。そこで、ダムの方で川に流入する水量を調整しています。
- ダムの構造を生かして発電を行って、電気を供給します。
どのように水力で発電しているのでしょうか?
ダムの中で水が速いスピードで落下するときのエネルギー(位置エネルギー)を利用して水車を回転させて、その動力から発電するタイプが代表的です。
水力発電にはどんなメリットがある?
- 発電するとき、二酸化炭素を排出しません。
- 発電効率がかなり高いです。
- 水は再生可能エネルギーなので、資源を浪費することはありません。
水力発電にはどんなデメリットがある?
- 発電所を建設することによって、自然が大きく変化します。
- 発電所の建設に時間とお金がかかったり、設置する場所が限られたりします。
- 水の量次第で発電量も変動するので、安定供給の面で課題があります。
火力発電所
どのように火力で発電しているのでしょうか?
化石燃料(石炭・石油・天然ガス)を燃やした熱により発生した水蒸気の力で、大きなタービンを回すことで発電させます。
火力発電にはどんなメリットがある?
- 化石燃料さえあれば、大量に電気をつくれるので、安定に供給できます。
- 発電効率が比較的高いです。
- そのときの需要に応じて、必要とする発電量の調整が可能です。
- 他の発電所と比べて、発電所を建設するコストが安くてすむ。
火力発電にはどんなデメリットがある?
- 化石燃料を燃やすと、二酸化炭素がたくさん発生するので、環境に対する問題があります。
- 海外からの化石燃料の輸入に依存しているので、価格変動の影響を受けやすくなります。
原子力発電所
どのように原子力で発電しているのでしょうか?
ウランを核分裂させたときに発生する莫大な熱エネルギーから水蒸気を発生させて、タービンを動かして発電させます。
ウラン235という放射性物質は、原子核に中性子がぶつかると「核分裂」するという特性があります。この分裂が起こるときに熱が発生します。その核分裂は波及していって、まわりのウラン235も核分裂します。このように、核分裂が次々と起こるので、その後も持続的にエネルギーが発生します。
原子力発電にはどんなメリットがある?
- 発電するとき、二酸化炭素を排出しません。
- 一度稼働させると、長時間連続して安定供給できます。
- 少ない燃料で、大量の電力ができます。
- 化石燃料のように価格に左右されません。
原子力発電にはどんなデメリットがある?
- 発電所の建設や維持にお金がかかります。
- 事故が発生したときの影響や被害が大変大きくなります。
- 使い終わった燃料をどう処分するかが大きな課題となっています。
発電所の分布
日本各地に、発電所がどのように分布しているのか見てみましょう。
地図から分布を見てみる

地図からどのように分布しているのか分析しましょう。
各発電所はどんな場所にあることが分かる?
水力発電で代表的なダムは、その利用目的から考えても分かるように、川の上流にあります。そのため、水力発電所は、山間部や河川の近くに多いことが分かります。
火力発電所は、燃料は海外から大型の船で輸入するために、臨海部にあります。
また比較的都市部に近い所にあります。
原子力発電所は、万が一事故が発生したときに影響力を考えて、都市部から離れた所にあります。また原子炉の冷却のために、海水を大量に必要とするので臨海部にあります。
地図から読み取れることをまとめてみました。
- 水力発電所は、内陸部に多い。
- 火力発電所は、都市部や都市部に近い臨海部に多い。
- 原子力発電所は、人口密集地から離れた臨海部に多い。
再生可能エネルギーとは
再生可能エネルギーとは何でしょうか?
再生可能エネルギーとは、繰り返し利用することが可能なエネルギーのことです。具体的に、太陽・風力・バイオマス・地熱などがありますが、水力発電も水が繰り返し利用できるという意味では再生可能エネルギーに含まれます。
太陽光発電は、太陽光パネルを敷いて、太陽電池によって太陽の光を電力に変えています。太陽光パネルは、広い土地だけでなく、個人宅の屋根に敷くこともできます。太陽由来の発電なので、天候に左右され、夜は発電できないという問題があります。
風力発電は、風車を回して発電します。風が強く吹き抜ける山の中や海岸付近に設置されます。青森県・秋田県・北海道に多く設置されています。風力は、風の強弱によって発電量が左右されるという問題があります。
バイオマス発電は、植物そのものや廃棄物・動物の排泄物などから出たバイオマスを燃やして出る熱やガスで発電します。トウモロコシから取れるバイオエタノールが自動車にさかんに使われている国(ブラジル)もあります。
地熱発電は、火山による地熱で水蒸気を発生させて、タービンを回して発電します。火山活動がさかんな日本に適した発電といえます。九州地方や東北地方に集まっていて、大分県には日本最大の八丁原地熱発電所があります。安定した電力量を確保することが難しいという問題があります。
日本の発電量の内訳
海外に目を向けて見ると、アメリカは火力、カナダは水力、フランスは原子力というように、各国で特色があります。日本ではどんな発電が主力で、発電の内訳はどのように変化してきたでしょうか?

1950年代までは水力発電が優勢でしたが、1960年代以降、火力発電が主力になってきました。この傾向は現在でも続いています。
これとは別に、1960年代から原子力発電が始まりました。それ以降、原子力発電の割合が増加していましたが、2011年の福島第一原子力発電所の事故により、多くの原子力発電所で操業が停止しており、その割合は大きく下がりました。
現在は、これらの発電以外の新しい発電(水力発電を除く再生可能エネルギー)の割合が年々大きくなりつつあります。2023年では20%近くなっています。
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