反射とは
何らかの刺激を受けて、意識とは無関係(無意識)に決まった反応が起こることを反射といいます。
なぜ無意識に起こるのでしょうか?
それは、刺激が脳を通らないからです。例えば、かなり熱い物を触ってしまったとしましょう。触った瞬間に無意識に手をパッと引っ込めます。つまり気が付けば手を動かしていたのです。このような反応を反射といいます。それではこの反応について詳しく見てみましょう。
脊髄反射とは?
先ほどの熱い物を触った反射を特に脊髄反射(せきずいはんしゃ)といいます。このとき、刺激から反応までの伝達は以下のようになっています。
①感覚器官(皮膚など)→ ②感覚神経 → ③脊髄 → ④運動神経 → ⑤筋肉
このとき、脊髄が脳に変わって手を引っ込めるように指示を出しているので、脊髄反射といわれています。
通常の反応は、どのような伝達でしょうか?
①感覚器官(皮膚など)→ ②感覚神経 → ③脊髄 → ④脳 → ⑤脊髄 → ⑥運動神経 → ⑦筋肉
2つの反応を見比べてみると、脳を通っているかいないという違いがあることが分かります。このことをイラストでも見てみましょう。

ちなみに、脊髄や脳をまとめて中枢神経といいます。さらに感覚神経・運動神経などをまとめて末梢神経(まっしょうしんけい)といいます。
中枢神経とは … 脳と脊髄から成っていて、全身に指令を出す大切な役割を持っています。大切な神経の束である脊髄は丈夫な背骨の中を通っています。
末梢神経とは … 中枢神経(脳と脊髄)以外のものを指します。感覚神経や運動神経は末梢神経に含まれていて、全身に張り巡らされています。
なぜ反射が必要なのか?
あまりにも熱い物を触ったときは、脳を経由していては伝達に時間がかかり、大やけどを負ってしまいます。またときには命にも関わります。突然起こる危険を少しでも回避できるように、脳まで情報を伝えないで最短時間で反応しようとします。
また上記以外でも、体の働きを調節するために起こる反射もあります。
反射の具体例
熱い物を手に取って、無意識に引っ込めることを反射の例としてあげましたが、他にもどのような例があるのでしょうか? いくつか見てみましょう。
口の中に食べ物を入れるとだ液が出ること。
暗い所に行くと、目の瞳(ひとみ)が広がること。
急に飛んで来たボールに対して目をつぶって体を避けること。
足を宙に浮かした状態で椅子に座っているとき、膝をハンマーなどで軽くたたくと、腿(ひざから腰まで足の上半分)が前にぴょんと跳ね上がること。特に膝蓋腱反射(しつがいけんはんしゃ)といいます。
膝蓋腱反射は、ビタミンB1の不足から起こる脚気(かっけ)という病気の検査で利用されます。脚気の一つの症状として末梢神経機能の障害があるので、神経が正常に働いているかどうかを確かめるために行われます。脚気は栄養が偏っていた江戸~昭和前半に流行りましたが、現代ではほとんどかかる人はいません。
反射(脊髄反射)と誤解しやすい反応
反射と思われがちですが、実は反射には含まれない例について考えてみましょう。ここでいう反射とは脊髄反射のことを指します。
食べ物を見ただけでだ液が出る
梅干や好きな食べ物を見ると、それだけでだ液が出ること。
どうして上の反応は、反射(脊髄反射)ではないのですか?
梅干や好きな食べ物を見ると、意識的にだ液を出そうとしていないのに、だ液が出ます。このため反射(脊髄反射)と考えがちですが、これらの反応は梅干やある食べ物を食べた経験が無い人は、だ液が出ません。それは食べた経験が無いので味が分からないからです。
つまり上の反応は、過去の経験に基づいた反応といえるので、経験という記憶つまり脳の働きが必要になるのです。
それで、梅干や好きな食べ物を見るとだ液が出ることは、「条件反射」と呼ばれています。この反応は生まれた後の経験や訓練を繰り返すことによって獲得される行動です。脊髄反射という言葉を見ると混同しがちですが、全く別の物考えて区別してください。経験に基づいて行動することが条件反射、経験に関係無く行動することが脊髄反射と覚えましょう。
条件反射とは … ソ連の生理学者のパブロフが発見しました。彼は犬を用いた実験によって、犬にご飯をあげるさいに、メトロノームの音を聞かせることを繰り返しました。その結果、メトロノームの音だけで犬はだ液を分泌することを発見したのです。
急に来たボールに反応する
スポーツの球技をしていて、急に来たボールを捕ったり打ち返したりすること。
野球のピッチャーが、バッターの打ち返したピッチャー返しのボールを素早くキャッチするシーンがあります。どう捕るか考えていたら体や顔にぶつかってしまいます。考えている間もなく、気が付けばグローブ(手)が出ていることがあります。これらの動作も最初は出来なかったのに、日頃の練習によって少しずつ鍛えられていって、捕ることができるようになったのです。
つまり、この動作もボールを捕ることは無意識的に行われていますが、練習などの経験によって培われたものなので、条件反射といえます。
まとめ

冒頭でも触れたように、反射とは無意識の内に起こる反応のことでした。そのような定義で考えると、条件反射も無意識的にできる行動なので同じようなものと考えてしまいます。
しかし条件反射は、あくまでも繰り返し訓練することによって獲得できる反応なので、経験に基づいた条件反射は脊髄反射(反射)と区別して考えます。

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