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【地理】促成栽培と抑制栽培の違いは?

学習Q&A 地理
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促成栽培と抑制栽培について

促成栽培と抑制栽培は、通常の収穫時期よりも前後にずらして出荷する栽培方法です。自然条件を利用したり、人工的な方法などを利用したりして、成長スピードを調節します。

人工的な方法としては、ビニールハウスなどの施設を用いることがあります。ちなみに、このような施設を用いて行う農業を施設園芸農業といいます。

園芸農業とは … 都市部などの需要が大きい地域へ出荷することを目的に野菜・花などを栽培する農業のことです。この内、施設園芸農業はビニールハウスなどの施設を用いた園芸農業のことです。

それぞれの特徴について調べてみましょう。

促成栽培とは

促成栽培とは、成長を早めて、通常の方法よりも早い時期に収穫して出荷する栽培方法です。

ビニールハウスなどの施設に加えて、温暖な気候も利用します。それで、促成栽培は比較的温暖な九州・四国などで多く行われています。

出荷時期は、農作物によって異なりますが、本来夏に収穫する農作物を、それよりも早めの冬~翌年春にかけて出荷されることが多いです。

抑制栽培とは

促成栽培とは、成長を遅めて、通常の方法よりも遅い時期に収穫して出荷する栽培方法です。

ビニールハウスなどの施設や冷涼な気候を利用します。

出荷時期は、農作物によって異なりますが、本来夏に収穫する農作物を、それよりも遅めの秋~冬にかけて出荷されることが多いです。

促成栽培のさかんな地域

促成栽培を行うのに適している温暖な気候である、九州南部や四国南部で促成栽培がさかんです。

九州南部(宮崎県・熊本県)

宮崎平野(宮崎県)では、ビニールハウス等で、きゅうりピーマンの生産がさかんです。さらに、熊本平野(熊本県)では、トマトの生産がさかんです。

ビニールハウスとは … 鉄骨とビニールでできた農業用施設です。内部の温度・湿度を調節することができるので、外部の天候に影響されずに農作物をつくることができます。1950年代以降、塩化ビニールを用いたビニールハウスが普及していきました。

次にどれくらい生産されているか、野菜別の上位ランキングを見てみましょう。

◎きゅうりの生産ランキング

順位都道府県シェア
1位宮崎県11.7%
2位群馬県10.1%
3位埼玉県 8.1%
4位福島県 7.4%
5位千葉県 5.8%
※農林水産省の2023年産のデータより

◎ピーマンの生産ランキング

順位都道府県シェア
1位茨城県22.9%
2位宮崎県17.7%
3位高知県 9.4%
4位鹿児島県 8.5%
5位岩手県 5.3%
※農林水産省の2023年産のデータより

◎トマトの生産ランキング

順位都道府県シェア
1位熊本県19.5%
2位北海道 8.8%
3位愛知県 6.8%
4位茨城県 6.3%
5位栃木県 4.4%
※農林水産省の2024年産のデータより

促成栽培によって生産がさかんになり、それぞれの農作物で全国有数の生産量になっていることが分かります。

四国南部(高知県)

高知平野(高知県)では、ビニールハウス等で、なすピーマンの生産がさかんです。これらの野菜は本来夏が旬の野菜ですが、促成栽培によって端境期である冬~翌年春に出荷することになります。

端境期とは … 農作物が多く収穫される時期以外の収穫が少なくなる時期のこと

◎なすの生産ランキング

順位都道府県シェア
1位高知県13.7%
2位熊本県12.0%
3位福岡県6.0%
4位鹿児島県5.1%
5位長崎県3.8%
※農林水産省の2024年産のデータより

◎ピーマンの生産ランキング

順位都道府県シェア
1位茨城県22.9%
2位宮崎県17.7%
3位高知県 9.4%
4位鹿児島県 8.5%
5位岩手県 5.3%
※農林水産省の2023年産のデータより

抑制栽培のさかんな地域

抑制栽培は、冷涼な気候である中央高地(中部地方)群馬県や、電照菊で有名な渥美半島でさかんです。

野辺山高原(長野県)・嬬恋村(群馬県)

冷涼な気候を利用して、レタスキャベツ高原野菜)などの抑制栽培が行われています。これらの抑制栽培は、露地栽培で行われていることが多いです。

産地は、八ヶ岳の野辺山高原(のべやまこうげん)や嬬恋村(つまごいむら)などが知られています。

露地栽培とは … 屋外で施設などを使わないで栽培することです。自然の気候を利用した形で栽培します。

高原野菜とは … 標高の高い地域で、冷涼な気候で栽培される野菜のことです

◎レタスの生産ランキング

順位都道府県シェア
1位長野県33.2%
2位茨城県15.4%
3位群馬県10.7%
4位長崎県6.4%
5位静岡県4.5%
※農林水産省の2023年産のデータより

◎キャベツの生産ランキング

順位都道府県シェア
1位群馬県19.7%
2位愛知県19.0%
3位千葉県8.1%
4位茨城県7.1%
5位鹿児島県5.1%
※農林水産省の2023年産のデータより

高原野菜の生産によって、長野県や群馬県は全国有数の生産量を誇っています。

渥美半島(愛知県)

の花は、日照時間が短いと開花するという性質があります。そのために、温室の中で人工的な光を当てることによって、あえて成長するスピードを遅らせて、開花時期を遅くします。このようにして出荷する時期を調節します。このような方法で栽培された菊を「電照菊」(でんしょうぎく)といいます。

戦前から試みられていましたが、戦後まもなく愛知県で本格的に電照菊が始まりました。現在は渥美半島(豊橋市・田原市)でさかんに行われています。

菊の花は、葬祭・法事などに使われますので、一年を通して需要があります。抑制栽培によって一年中安定した供給をすることが可能なのです。

◎菊の生産ランキング

順位都道府県シェア
1位愛知県35.3%
2位沖縄県17.1%
3位福岡県5.6%
4位鹿児島県4.9%
5位長崎県4.2%
※農林水産省の2023年産のデータより

電照菊の栽培によって、全国でも愛知県は圧倒的なシェアを誇っています。

促成栽培と抑制栽培のさかんな地域を、以下の地図にまとめてみました。

促成栽培と抑制栽培のさかんな地域を示した地図。

促成栽培・抑制栽培のメリット・デメリット

促成栽培は、様々な地域で行われていますが、どんなメリット・デメリットがあるでしょうか。

メリット

生産~出荷時期が、他の地域よりも早くなるので、供給が少ない時期に市場に供給することができます。結果として、より高い価格で売るができるので、収益を上げることができます

一例をあげると、トマトは通常夏に収穫の時期を迎えますが、熊本県では、促成栽培によって冬春トマトを10月~6月にかけて収穫しています。

さらに、消費者の側としても、本来決まった時期にしか手にすることができない農作物を、年中購入することが可能になります。こうして日本全国で、安定して様々な種類の農作物を提供することできるようになってきました。

デメリット

施設を整備・維持するための費用や、施設内の温度を一定に保つために電気代や燃料代がかかるので、通常の栽培方法よりもコストがかかりやすくなります。

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