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【地理】なぜヨーロッパは高緯度にあるのに気候が温暖なのか?

学習Q&A 地理
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ヨーロッパの気候と日本の気候を比べる

ヨーロッパは大部分が温帯や亜寒帯(冷帯)に属します。さらにヨーロッパの温帯は、地中海性気候・西岸海洋性気候などに区分することができます。

では日本列島は何の気候帯に属するのでしょうか?

日本もヨーロッパと同様に部分が温帯で、北海道が亜寒帯(冷帯)に属します。さらに日本の温帯は、大部分が温暖湿潤気候になります。

多く種類の気候帯や何々気候という名称が出てきたので、下の表に気候帯と気候区分の関係性をまとめてみました。

気候帯ケッペンによる気候区分
熱帯熱帯雨林気候・サバナ気候
乾燥帯砂漠気候・ステップ気候
温帯温暖湿潤気候・西岸海洋性気候・地中海性気候
亜寒帯(冷帯)
寒帯ツンドラ気候・氷雪気候
※ケッペンとはドイツの気候学者。上記の気候は、彼が考えた気候区分である。

今回は、この表に出てくる「西岸海洋性気候」に注目します。

このように、気候帯でいうと日本とヨーロッパは気候が似ていることが分かります。しかし、気候は似ているのですが、ある点で大きな違いがあります。それは何でしょうか?

それは、ヨーロッパは日本と比べて高緯度にあるということです。では、どれほど高緯度なのか見てみましょう。

ヨーロッパはどれほど高緯度にあるか

ヨーロッパはどれほど高緯度に位置しているのでしょうか?

下の地図で確認してみましょう。

北海道からそのまま横に移動していくと、地中海のヨーロッパ側に行き着くことが分かります。このように見ると、西ヨーロッパの国々は思ったより高緯度に広がっていることが分かります。

例えば、イタリアのローマは北緯41度ですが、この緯度を日本の都市に当てはめると、北海道函館市が同緯度になりますが、両都市の気候をイメージしても、ローマと函館が同じ緯度だと想像できません。

地球上で一番暑い場所は赤道付近(低緯度)です。赤道から離れるほど、つまり北極・南極(高緯度)に向かうほど寒くなっていきます。このように、緯度から考えるとヨーロッパは本来より寒い所になるはずです。

さらに他の日本の都市とヨーロッパの主要都市の緯度を見てみましょう。

東京都北緯35度バルセロナ(スペイン)北緯41度
岩手県盛岡市北緯39度ローマ(イタリア)北緯41度
青森県青森市北緯40度パリ(フランス)北緯48度
北海道札幌市北緯43度ロンドン(イギリス)北緯51度
北海道稚内市北緯45度ベルリン(ドイツ)北緯52度
※緯度はおよその数字となります。

上の表の通り、ヨーロッパの主要都市は、日本の大部分よりも北に位置していることが分かります。北海道稚内市は北海道最北端の地ですが、パリ・ロンドン・ベルリンはそれよりさらに北に位置しています。ちなみに緯度1度分で約111kmになるので、ベルリンは稚内から700km以上北にあることが分かります。

ヨーロッパは、私たちのイメージよりもかなり高緯度にあることが分かります。

日本の都市とヨーロッパの都市の気温を比べてみよう

東京都の平均気温を参考に見ておきましょう。

都市名1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
東京都5.46.19.414.318.821.925.726.923.318.012.57.7
※単位は℃ 
※気象庁データで、1991~2020年の平均気温です。

青森市とローマ市の各月の平均気温比べてみましょう。

都市名1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
青森市-0.9-0.42.88.513.717.621.823.519.913.57.21.4
ローマ市 7.27.810.613.817.922.525.225.421.117.112.68.5
※単位は℃ 
※青森市は気象庁データで、1991~2020年の平均気温です。
※ローマ市はOpenStreetMapのデータに基づいた気温で、1999~2021年の平均気温です。

ローマ市は、青森市とほぼ同緯度ですが、気温は東京都と同じくらいあることが分かります。このことから緯度のわりにローマは温暖だということが明らかです。

先ほど出てきた、稚内市とベルリン市の各月の平均気温も比べてみましょう。

都市名1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
稚内市-4.3-4.3-0.64.59.113.017.219.517.211.33.8-2.1
ベルリン市-2.3-1.12.99.214.819.923.422.618.912.46.51.2
※単位は℃
※稚内市は気象庁データで、1991~2020年の平均気温です。
※ベルリン市はOpenStreetMapのデータに基づいた気温で、1999~2021年の平均気温です。

ベルリン市は、稚内市よりも北に700km以上ありますが、平均気温を比べてみると、稚内市よりも気温がやや高いことが分かります。
ちなみに日本周辺で北緯51度というと、北海道の上にある樺太(サハリン)という島の真ん中あたりになります。樺太は冬は平均気温は氷点下10℃以下になる極寒の地ですが、ベルリンはそうではありません。このことからも、緯度のわりにベルリンはかなり暖かいことが分かります。

なぜヨーロッパは高緯度なのに温暖なのか

なぜヨーロッパは高緯度なのに温暖なのか?

この仕組みを理解するために「海流」と「風」をキーワードにして説明していきます。

原因①:北大西洋海流

下の地図を見てください。ヨーロッパがあるユーラシア大陸の西側に北大西洋海流が流れてきています。この海流は赤道を由来とする海流で、一年中流れて来ます。赤道でしっかりと海水が暖められるので、暖流(つまり暖かい海水)になります。その暖流が高緯度のヨーロッパの西岸までたどり着くのです。

ここで、冬の浴室を思い浮かべてください。冬の浴室は寒いですが、熱いお湯で浴槽を貯めると、そこから立ち上る湯気によって、浴室内の空気もある程度暖められます。暖流も同じように、それが流れてくる上の空気も同時に暖めてくれます。
それで、北大西洋の暖流が流れて来るヨーロッパの西側海域も高緯度のわりに暖かくなるのです。

原因②:偏西風

そして、ヨーロッパを暖かくするのは、海流だけではありません。その暖かい空気をヨーロッパの方面に流す必要があります。そこで活躍するのは偏西風です。偏西風は西から東に向かって北緯30~60度のあたりの上空を吹いている風です。この風が吹くあたりにちょうどヨーロッパがあります。この風は地球が自転している限り、止まることはありませんので、年中海からの暖かい空気を西ヨーロッパへ届けてくれます。

先ほどの地図に偏西風を加えてみました。西ヨーロッパを温暖にしていることが分かります。

この風のおかげで、ヨーロッパの内陸部に暖かい空気が流れてくるのです。この暖かい空気が流れてくるあたりに西岸海洋性気候が広がっています。

西岸海洋性気候は、夏は暑すぎず冬は寒すぎず、年中比較的温暖で降水量も一年を通して差がありません。西ヨーロッパは、人は暮らすのにちょうど良い気候となっています。

まとめ

ヨーロッパは、北大西洋海流と偏西風の見事な組み合わせにより、まるで、一年中天然のエアコンがかかっているようなものです。この気候のおかげで、高緯度のわりに過ごしやすい気候で生活することができます。

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