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【地理】なぜ南アメリカで、スペイン語・ポルトガル語が話されるのか?

学習Q&A 地理
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現代の南アメリカ州の言語分布

南アメリカ州のほとんどの国では、スペイン語やポルトガル語が話されています。当たり前のことですが、スペイン・ポルトガルはヨーロッパの国々です。では、なぜ地理的にかなり距離があるヨーロッパの言語が使われているのでしょうか?南アメリカとヨーロッパにはどんな関係があるのでしょうか?

では、どれだけ話されているでしょうか。以下の地図をご覧ください。

南アメリカ州の主な言語の分布の地図です。ブラジルがポルトガル語、それ以外は大半の国がスペイン語を主な言語としています。

ブラジルではスペイン語が公用語、その他のほとんどの国ではスペイン語が公用語となっています。さらにその他の国では、英語・フランス語・オランダ語も公用語となっています。(国によっては公用語を複数持っている)

このように、南アメリカ州は全体として、ヨーロッパの言語が中心になっていることが分かります。

どうしてヨーロッパの言語が広まったか

インカ帝国に代表されるように、南アメリカの山岳地帯では、先住民による高度な文明が栄えていました。しかし、15世紀の大航海時代に、スペインやポルトガルが世界に進出するようになると、南アメリカにも手を伸ばし始めます。16世紀に入ると、スペインはアステカ・インカ帝国を次々と征服。ポルトガルも南アメリカ大陸に進出します。こうした中でヨーロッパから多数の人々がやって来ました。

彼らは、南アメリカ大陸にあった古代からの文明を滅ぼして植民地としていきました。その中で、現地の人々が酷使されたり、ヨーロッパから持ち込まれた疫病が流行ったりして、人口は大幅に減少しました。さらに今度は人手不足による労働力を補うために、アフリカから多くの奴隷を連れて来ました。
こうして、ヨーロッパ系・アフリカ系・現地の人々との混血が進みました。この激変の中で、現地語を話すことよりも、当時の支配層だったヨーロッパの言語が話されていったのです。

こうして現代では、スペイン語・ポルトガル語が広まっていったのです。

次の表を比較してみましょう。

スペインポルトガル
本国の人口約4800万人約1000万人
※総務省統計局HPより。データは2023年のもの。
スペイン語ポルトガル語
母国語の人数約3億3000万人約1億7500万人
※外務省HPの「探検しよう!みんなの地球」より。データは2005年のもの。

スペイン・ポルトガル語は母国の人口の割に、世界で多くの人々に使用されています。2023年に推計で、スペイン語は世界で4番目、ポルトガル語は世界で7番目の数の人々が母国語としています。スペインとポルトガルの人口を考えると、いかに母国以外の海外(南アメリカなど)で、多くの人々によって話されているかが分かります。

南アメリカ州に現地の言語はないのか?

南アメリカ州には、ヨーロッパが進出する以前から、現地の言語もたくさんありました。そしてそれは現代でも残っています。

一例をあげますと、南アメリカにはアンデス文明が栄えていました。その中でも、インカ帝国では「ケチュア語」が使われていました。文字がなかったので、存続はなかなか困難だったといえます。しかし、時代が進む中でも確かに残ってきました。そして現代になってから、アルファベットを使用して、文字でも表現できるようになりました。

現在、ペルーやボリビアでは、ケチュア語は公用語の一つとして話されています。それでも、スペイン語やポルトガル語と比べると少数といえます。

それ以外にも、数百の先住民が使う言語もあります。しかし、それぞれが使う話者の数は減少していて、将来に向けて存続させることが課題になっています。

なぜブラジルだけがポルトガル語なのか?

上の地図をもう一度見てみましょう。

ブラジルはポルトガル語です。しかし他の多くの国がスペイン語です。

なぜブラジルだけがポルトガル語なのでしょうか?

時は西暦1494年までさかのぼります。スペインとポルトガルが積極的に進出していましたが、両国はどちらも進出のために競い合っていました。その不安定な関係を改善するために、南アメリカ大陸の扱いについて条約(トルデシリャス条約)が結ばれました。話し合いの結果、西経46度に線が設定されて、その線から東側の土地はポルトガル、西側の土地はスペインとすることが取り決められました。

地図で確認してみましょう。

トルデンリャス条約によって設定された線を南アメリカ大陸に引いてみました。この線の東側はポルトガル、西側がスペインのものとしました。

地図から分かるように、現代のブラジルの真上を通るように線が設定されました。その結果、この線を根拠として、東側の土地にかかっていたブラジルがポルトガルの植民地、西側の土地はスペインの植民地となりました。

このようにスペイン・ポルトガルの覇権争いでバランスを取った結果、ブラジルだけがポルトガル語を公用語とするようになったのです。

なぜラテンアメリカというのか?

今日、南米(南アメリカ)などのことを、「ラテンアメリカ」といいます。ではどこがラテンアメリカなのでしょうか? ラテンアメリカは厳密には北アメリカ大陸・南アメリカ大陸や周辺の島々の中でも、アメリカとカナダ以外の国々や地域のことを指しますこの名称は、19世紀以降使われるようになりました。

ラテンとは、ヨーロッパの中でも、スペイン・ポルトガル・イタリア・フランスなどの地中海沿岸の国々を指します。ちなみに、これらの国々の言語であるスペイン語・ポルトガル語・イタリア語・フランス語などは、ラテン系言語に属します。

スペインやポルトガルが進出して以来、文化的にも影響を強く受けてきました。このようにして、南アメリカ州は、ヨーロッパによる侵略の歴史はありながらも、言語や文化を取り入れながら発展してきたのです。

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