概要
一つに国の主権が及ぶ範囲を領域といいます。領域には、陸地である領土、領土から一定の範囲である領海、さらに領土と領海の上空にあたる領空からなります。
この記事では、「領海」と、その外側にある「排他的経済水域」や「接続水域」、さらにその外側にある「公海」について解説します。
下のイラストで、それぞれの海域について見てみましょう。

日本は海で囲まれた島国なので、陸上に国境はありません。日本は上記であげた海域と密接な関係があるのです。
この記事では、「国連海洋法条約」という言葉が何度か出てきます。これは1982年に国際連合によって採択された「海の憲法」です。正式には「海洋法に関する国際連合条約」といい、世界の海をどのように区切り、どこまでがどの国の権利かなどを総合的に定めた国際条約です。日本は1996年にこの条約に批准しました。海に面していても、アメリカ合衆国などは批准していませんが、事実上、国連海洋法条約には従っています。
領海とは
領海とは、沿岸国の主権が及ぶ、基線から最大で12海里(約22.2km)までの範囲で設定されています。領海は主権国家の一部で、沿岸国は領土と同じように主権を行使できます。
日本の領海の広さは約43万km2で、日本の国土面積(約38万km3)よりもやや大きいです。
海里 … 海里は長さを表す単位で、1海里で1.852km(1,852m)になります。元々緯度1分(1度の60分の1)に相当する長さになります。
基線 … 領海の幅を決めるための線となります。通常は海岸の低潮線(海面が最も低くなったときに陸地と水面の境界となる線)です。しかし、海岸が著しく曲がっていたり、海岸に沿って至近距離に一連の島々があったりする場合には、適当な地点を結んだ直線を基線とすることがあります。
領海は沿岸国の主権が及びますが、全ての国の船舶は、「無害通航権」が認められていて、沿岸国の平和や安全を脅かさない限り、原則として自由に航行できます。ただし航行する場合でも、継続的かつ迅速に行う必要があります。
海底パイプラインや海底ケーブルのような構造物も、沿岸国の許可を得た上で、敷設することは可能ですが、関係国との協議・合意が必要となってきます。
領海の上空(つまり領空)を外国の航空機が通過する場合は、原則として事前に通知をして、その国の許可を得ることが必要です。そのさい、民間航空機は平和的に通過することが求められ、船舶と同様に平和や安全を脅かしてはなりません。許可なく飛行すると領空侵犯になり、緊急発進(スクランブル)が行われます。
ちなみに、平和や安全を脅かすこととしては、武力による威嚇や行使、兵器を用いる訓練、沿岸国の防衛や安全を害する情報収集、航空機の発着・積み込み、何らかの調査活動・測量活動などが含まれます。
排他的経済水域(EEZ)とは
排他的経済水域は別名「EEZ」ともいいます。EEZは “Exclusive Economic Zone” の略です。国連海洋法条約に基づいて設定されている海域です。国連海洋法条約により、排他的経済水域は領海の基線から最大で200海里(約370km)までの範囲で設定できます。沿岸国は主権を行使できません。
日本の排他的経済水域までを合わせた広さは約447万km3ですが、これは日本の国土面積(約38万km3)の約12倍になります。排他的経済水域の広さは世界で第6位になります(ちなみに国土面積では世界で第61位になります)。いかに日本が広大な海に囲まれているのかが分かります。
近隣国との間で経済水域が重複する場合もありますが、問題解決のために、国際法に基づいて合意が行われます。それでも解決しない場合は、紛争解決のために手続きが取られます。
排他的経済水域と領海との違いは何ですか?
領海は、領土・領空と同じように国家の主権が及んでいますが、排他的経済水域はその名の通り、生物資源(魚など)や海底資源(石油・天然ガスなど)などの開発と管理に関する経済的な権利が認められています。つまりそれらの権利に関しては、沿岸国の権利を主張できるのです。他国が経済的な権利を主張したい場合は、沿岸国の許可が必要となります。
どのようなことが行えますか?
排他的経済水域については、以下の権利、管轄権が認められています。
1.天然資源の探査、開発、保存及び管理等のための主権的権利
2.人工島、施設及び構築物の設置及び利用に関する管轄権
3.海洋の科学的調査に関する管轄権
4.海洋環境の保護及び保全に関する管轄権
(海上保安庁のHPより)
この海域も、外国の船舶や航空機は自由に航行できます。この場合も平和や安全を脅かしてはなりません。また海底パイプラインや海底ケーブルを敷設することもできます。
接続水域とは
接続水域は、領海の基線から外側に24海里(約44km)までの範囲で設定できます。沿岸国は領海ほどではないですが、主権を行使できます。排他的経済水域に含まれています。
沿岸国が、自国の領土又は領海内における通関、出入国管理(密輸入・密入国)、衛生(伝染病など)に関する法令の違反の防止や処罰を行うことが認められています。
通関 … 輸出入される貨物について、品目・数量・金額などを税関に申告し、許可を得るための一連の手続きのことです。この手続きをすることによって、原則として貨物を国境を超えることができません。
出入国管理 … 国境・空港・港など、人が国家間を出入りする場合、沿岸国がその出入国が管理・審査することです。
外国船が怪しい行動を取る場合、接続水域では、予防的に取り締まることができます。具体的には領海に近づかないように警告したり環視したりすることができます。
公海とは
どのようなことが行えますか?
公海では、航行すること、上空を飛行すること、一定の条件下で漁業を行うこと、海洋の科学的調査を行うことが自由にできます。
公海は、どこかの国の領海、排他的経済水域などの含まれない海域のことです。つまりどの国のものでもありませんので、沿岸国は主権を行使できません。公海は、公海自由の原則が適用されているので、全ての国が自由に利用できます。
公海上は、どの国の領域でもありません。そのために、船舶や航空機では、それらが登録されている国の法律が適用されます。これを旗国主義といいます。
船舶 … 人や物を乗せて水上を移動する目的で作られた乗り物のことです。商船、漁船、艦船などが含まれます。「船」も同じような意味ですが、「船舶」は法律や専門的に使われることが多いです。
まとめ
| 名称 | 距離 | 沿岸国の主権 |
|---|---|---|
| 領海 | 12海里 ※1 【約22.2km】 | 領土と同じように主権が及ぶ。沿岸国の法律が適用される。 |
| 接続水域 | 24海里 ※1 【約44km】 | 領海ほどではないが主権が及ぶ。沿岸国の法律が適用される。 |
| 排他的経済水域 | 200海里 ※1 【約370km】 | 全てではないが、分野(漁業・海洋資源)によっては権利が及ぶ。 |
| 公海 | ー | 主権が及ばない |
※1上記を超えない範囲で沿岸国が決定します。
| 名称 | 外国による漁業活動 | 外国による資源開発 | 外国船の通航 |
|---|---|---|---|
| 領海 | 沿岸国の許可が必要 | 沿岸国の同意が必要 | 自由に通航できる 【取締・監視・警告】※2 |
| 接続水域 | 沿岸国の許可が必要 | 沿岸国の同意が必要 | 自由に通航できる 【取締・監視・警告】※2 |
| 排他的経済水域 | 沿岸国の許可が必要 | 沿岸国の同意が必要 | 自由に通航できる |
| 公海 | 自由に活動できる | 自由に活動できる | 自由に通航できる |
※2不審な動きをする船舶に対して行います。

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