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【地理】アメリカのサンベルトとは?

学習Q&A 地理
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サンベルトとは?

サンベルト」とは、アメリカ合衆国の北緯37度線より南側の地域のことです。この地域では1970年代以降、急速に先端技術産業が集積してきました。

サンベルトには、主に・・以下の州が含まれます。

西から、カリフォルニア州、ネバダ州、アリゾナ州、ニューメキシコ州、テキサス州、オクラホマ州、アーカンソー州、テネシー州、ルイジアナ州、ミシシッピ州、アラバマ州、ジョージア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、フロリダ州などが含まれています。

なぜ「サンベルト」と呼ばれているのですか?

アメリカ合衆国の南部で、国内では赤道(緯度0度)により近く、太陽がよく当たる温暖な地域という意味で付けられました。

アメリカの産業の中心 中西部から南部へ

アメリカの産業の中心は、中西部から南部へと移動していきました。

中西部の繁栄と衰退

アメリカ合衆国の中西部では、石炭や鉄鉱石といった工業に欠かせない資源が豊富に存在していました。五大湖周辺では鉄鉱石が、アパラチア炭田では石炭が産出されるようになります。こうしたことから、19世紀にはそれらを基盤にしてピッツバーグでは鉄鋼業が発達します。さらに五大湖は大西洋とも繋がっており、大量生産した製品を、海外に輸出しやすい環境が整っていました。

20世紀に入ると自動車工業も発展していきます。1903年にデトロイトでは、フォード・モーターが操業を開始します。創業者のヘンリー・フォードが生み出した効率的なアイデアにより、大量生産方式を実現しました。

フォードの他にも、ゼネラルモーターズやクライスラーといった自動車メーカーも急成長します。これらの自動車メーカーは「ビッグスリー」と呼ばれて、アメリカ繫栄の象徴となりました。まさにアメリカンドリームが叶えられる地となったのです。

しかし、1970年代になると、日本やヨーロッパなどの自動車メーカーによる世界的な競争や革新が起き、アメリカの自動車産業は、世界の勢いに飲み込まれていきました。

さらに1973年に石油危機が起こると、アメリカの消費者の嗜好に変化が現れます。それまでの燃費が悪く大型のアメリカ車よりも、燃費の良い小型車が求められるようになります。その結果、ホンダやトヨタなどの日本輸入車の人気が急上昇するとともに、アメリカメーカーの国際競争力が低下し、ビッグスリーの業績は悪化していきました。

こうした中で、アメリカは従来の重工業に変わる、別の産業に力を入れるようになりました。

南部の台頭

アメリカの産業構造の変化にともなって台頭してきたのが、新興地域の南部のサンベルトでした。1970年代以降、この地に新しい工業地域が形成されていくとともに、他の地域から人口が流入するようになります。さらに、寒冷で衰退しつつあった中西部などからの人口も受け入れてきました。

従来の重工業とは異なる航空宇宙産業ICT産業などの先端技術産業が発達してきました。

先端技術産業 … 最先端の技術を用いて工業製品などを生産する産業のことです。具体的には、半導体産業、ICT産業、航空宇宙産業、ロボット産業、バイオテクノロジー、新素材開発など多岐にわたります。

ICT産業 … 情報処理技術と情報通信技術を基盤として、社会に広範囲にわたって貢献する産業全般を指しています。特にインターネットを中心にして情報や知識の共有や活用をすることが含まれます。

なぜ南部では、先端技術産業が発達してきたのでしょうか?

サンベルトは、多くの企業や工場を受け入れて、産業が発展していくための要素がいくつもありました。具体的にはどのような要因があるでしょうか。

①温暖な気候で、事業に適していたこと。
②広大な土地が残っていたこと
③地価が安くて、取得しやすかったこと。
④労働力が豊富にあったこと
⑤労働単価が安価であったこと。
⑥エネルギー資源に恵まれていること

 テキサス州やカリフォルニア州での油田や天然ガス田

シリコンバレーとは?

シリコンバレーは、カリフォルニア州北部にあるサンフランシスコ郊外にある地域のことです。特定の行政区分の名称ではなく、その地域一帯を指す通称です。サンベルトを象徴する地域としても世界的に有名です。

シリコンバレーには、サンノゼ、マウンテンビュー、サニーベール、メンローパークなどの都市が含まれています。特にサンノゼは、1970年代には人口が約40万人ほどでしたが、現在は100万人を超えていて、シリコンバレーの中心都市として急成長してきました。

なぜ「シリコンバレー」と名付けられたのですか?

シリコンは、「ケイ素(Si)」という物質の英語名です。シリコンは半導体の材料に使われています。シリコンは地球に多く存在しているために安価で、シリコンの持つ特性が半導体に向いていることから、欠かすことのできない物質となっています。

1955年以降、ウィリアム・ショックレーによる半導体研究のための施設が開設されてから、その周辺に多くの半導体メーカーが集まったことが、名前の由来となっています。この名称は、シリコン(半導体)と、サンフランシスコの地形を表すバレー(渓谷)を組み合わせたものです。1971年にドン・ホーフラーというジャーナリストが、特集記事のタイトル(「Silicon Valley USA」)として使ったことが始まりといわれています。

ここは、サンベルトの中でも特に先端技術産業の集積地となっています。主に以下のような企業が拠点を置いています。

企業名英語表記特  色
グーグルGoogle検索エンジン、Web広告などのインターネット関連
アドビAdobephotoshop、illustratorなどのソフトウェア
メタ
(旧:フェイスブック)
MetaSNS(フェイスブック)などのネットサービス
アップルAppleiPhone、iPadの製品やネットサービス
インテルIntelCPUや半導体素子
エヌビディアNVIDIA半導体の開発・研究・販売
ヤフーYahoo!インターネット関連サービスの展開
アプライド・マテリアルズApplied
Materials
半導体製造装置
イーベイeBayグローバル電子商取引
ヒューレット・パッカードHewlett-Packardコンピューターと電子計測機器の製造・販売
※企業の事業内容については、全てを取り上げているわけではありません。

また、シリコンバレーにはスタンフォード大学があります。アメリカ屈指の名門大学です。この地に拠点を置く世界的企業であるグーグルは、同大学の出身者が創業しました。またグーグル以外にも多くの出身者が、革新的な技術によって、多くの事業を手掛けてきました。

シリコンバレーの産業とスタンフォード大学は切っても切れない関係となっています。このように、企業と教育機関との連携も、シリコンバレーの強みとなっています。

スタンフォード大学 … 1891年に創立されたアメリカの超名門の私立大学です。世界の大学ランキングでは常に上位にランキングされています。全米でも合格することが非常に困難な大学です。多数のノーベル賞受賞者も輩出しています。

ラストベルトとは?

サンベルトに対して、アメリカ合衆国東部から中西部にかけての五大湖周辺を「スノーベルト」や「フロストベルト」と呼ばれています。具体的にはオハイオ州、ミシガン州、インディアナ州、ウィスコンシン州、イリノイ州あたりを指します。

スノーベルトフロストベルト … スノー(snow)は雪、フロスト(frost)はしもとを意味していて、サンベルトとは対照的に、比較的寒冷な北部地域の気候を連想させる表現となっています。

これらの地域は、南部のサンベルトが20世紀後半に発展してきたのとは対照的に、鉄鋼業や自動車工業の苦戦によって衰退しました。それゆえに「ラストベルト」と呼ばれて、1970年代~1980年代のアメリカ経済の低迷を象徴するようになりました。

なぜ「ラストベルト」と呼ばれているのですか?

英語で「rust(ラスト)」とは、「錆びついた」を意味します(「last」ではありません)。工業とともに街も衰退していって、至る所に使われなくなった工場や機械が置き去りにされました。それらが錆び付くような状態で放置されていることを象徴的に表しています。この言葉は1980年代以降定着しました。

デトロイトの凋落

デトロイト市は製造業の空洞化により、工場は閉鎖し、失業者は増加し、それに伴いインフラの老朽化や治安悪化したことにより、人々は街を去りました。以前よりも持ち直してきているとはいえ、デトロイトの失業率・貧困率・犯罪率は全米でも高い率で推移しています。

1950年の約185万人から、2020年には約64万人と人口も激減しました。

ただしデトロイト市を中心とした大都市圏として見た場合は、人口は減少しておらず、デトロイト市を中心とした局所的な衰退であるという側面もあります。

2013年には深刻な債務超過の状態から財政破綻します。負債総額は約1兆8000億円を超えていました。

ただし、現状に手をこまねいているわけではなく、市の再生のために様々な取り組みが行われています。近年では、次世代自動車産業、ロボット産業、医療産業などが盛んになっています。

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