みんなで問題を解決するために
人間には、それぞれの考え・利害・価値観が異なるために、さまざまな対立が起こる可能性がことがあります。対立はそのままにしておくと大きな争いへと発展することがあります。極端な話かもしれませんが、戦争や紛争などの歴史が、そのことを教えてくれています。
争いにならないようにお互いの意見を出し合い、解決策のために合意を目指すことが必要になります。それは、学校のクラスでも国家間でも規模の大小に関わらず、対立が表面化したときは合意に努めることは大切なのです。
ただし、対立から合意へと至るためには、全員の納得できる進め方が最善です。全員がその過程に満足しているかどうかを判断するために、効率と公正という考え方があります。

効率とは
効率とはどういう考え方でしょうか?
辞典にはこのように定義されています。
一般的に、使った労力と、得られた結果との割合。結果を中心にしていう。
精選版 日本国語大辞典
辞典の定義から分かるように、「効率」とは、より少ない資源でより大きな成果を得るという考え方です。社会全体で考えると、「無駄を省く」という意味にもなります。
資源とは何でしょうか?
まず資源として考えられるのが「時間」です。全ての人には平等に1日24時間が与えられています。どれだけ色んなことをやりたいと思っても、時間は限られています。つまり時間は有限な資源なのです。特に現代社会は忙しく毎日が過ぎていきます。そのような中で、問題を解決するために、なるべく時間はかけたくない傾向があります。
また、時間に関連して「時は金なり」ということわざもあります。特に仕事をするようになると、時間は貴重と感じます。その時間に働けばお金が稼げるからです。ですから時間と同じようにお金も資源といえます。
このように多くの人にとって、時間やお金は貴重な資源といえます。これらの資源をなるべく無駄にしたいとは思いません。むしろ少ない資源で良い結果が出ると、そのことが高く評価される社会の構図があります。
効率を求めた考え方を、給食を例えにして考えましょう。
給食でプリンが3個残ったとします。先生が一方的に、給食を完食した人から先着順でおかわりできるルールを作ったとします。そうするとプリンを少人数ですが好きな人が食べることができますし、ルールを決めた以上、誰が食べるか決めるための時間も必要ありません。これによって、プリンという目に見える資源や時間という目に見えない資源も無駄にしていません。
しかし、中にはプリンを食べたいのに給食を食べることが遅い人もいます。そのような人からは不満が出るかもしれません。そこで公正という考え方が登場します。

公正とは
効率とはどういう考え方でしょうか?
辞典にはこのように定義されています。
公平でかたよっていないこと。明白で正しいこと。また、そのさま。
精選版 日本国語大辞典
公正とは、個人を尊重し、不当に扱わないという考え方です。
不当とは … 正しくないことという意味があります。
人は誰しも、自分の考えを尊重してくれることを望みます。小さな集団であれば、個人は尊重されやすいですが、大きな集団になればなるほど難しくなります。しかし、どれだけ大きな集団であっても、その集団は一人一人の人が集まっています。集団になるとどうしても、個人の意見が通りにくくなりますが、なるべく各人の意見を尊重するということは公平といえます。
公正を求めた考え方も、給食を例えにして考えましょう。
先ほどの給食のプリンを例にします。
残った3個を先着順ではなく、おかわりした人全員で話し合って、誰が食べるのか決めるとします。この話し合いのさいに、全員が対等な立場で納得した話し合いになる必要があります。誰かが威圧して、話し合いを無理に進めるのは不当といえます。
話し合いの結果、じゃんけんで決めるとか、誰かがゆずってあげるとか、色々な解決策が考えられます。しかしいずれにしても、話し合いに参加した誰もが、納得することが重要になってきます。

ちなみに、話し合って物事を決定するさいに、全員が対等に参加できることを「手続きの公正」といいます。
効率と公正はどのように両立するか
効率と公正は、はたして両立できるのでしょうか?
例えば、時間の観点から考えると効率と公正について考えるとどうでしょうか?
なるべく無駄な時間をかけないで早く合意しようとします。これは効率を重視していることになります。「コスパ」が良いかもしれませんが、早く物事を進めようとするあまり、誰かの意見を犠牲にしているかもしれません。そのことは、今後の新たな対立の火種になり得ます。
一方で、全ての人の意見を尊重して合意を目指そうとします。ある程度までまとまったとしても、意見を一つにまとめることがいつまでもできず、お互いが平行線のまま時間が経っていくかもしれません。そうなるといつまでも合意することができません。
いつでも効率と公正を完璧に両立させることは困難といえます。しかし、それぞれの考え方を意識しながら解決に努めることはできます。つまり、どちらか一方に偏らないように注意しながら、話し合いを進めていくのです。
ここまでで、効率と公正にはそれぞれにメリットとデメリットがあることが分かりました。どちらかだけが優先されるものではありません。どちらの価値観も大切なのです。
また一度合意したからといってそれで終わりではありません。人間のすることに100%はないのです。ですから再び問題が起こったら、また新たな合意を目指せばいいのです。このように、対立は改善することには終わりはないのです。


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