プラスチックとは
プラスチックについては、これといった明確な定義があるわけではなく、さまざまな定義がされていますが、「高分子物質を主原料として人工的に形づくられた個体」と説明することができます。
もともとプラスチックの語源は、ギリシャ語の可塑性を意味する「plastos」が由来となっています。可塑性とは「力を入れると形を変えることができて、力を取り除いてもその形が変わらない性質」のことです。プラスチックはまさに、熱を加えることによって軟らかくなって、任意の形に変えることができるものといえます。
プラスチック全体に共通する単一の化学式はありません。種類ごとに異なります。
プラスチックを化学式から考える
プラスチックは、最小単位である「モノマー(単量体)」が、数千個~数万個結び合わさって長い鎖状分子の集まりである「ポリマー(重合体)」と呼ばれる高分子の化合物になります。このために分子量も相当大きな数になります。一般的に分子量は10,000を超える巨大な分子となります。
原子量・分子量 … どちらも、炭素原子(炭素12)1個の質量の12分の1を基準とした相対値です。原子量はある原子1個分の相対質量で、分子量はある分子1個分の相対質量です。
例えば、水の分子量は約18になります。水は「H2O」で、水素原子2個と酸素原子1個からできているので、水素の原子量1が2個と、酸素の原子量16が1個で、「1×2+16=18」になります。プラスチックは高分子化合物であることから、分子量が必然的に大きくなります。
しかし、プラスチックには水分子のような定まった分子量はなく、多数の鎖状から求めた平均分子量になります。一般的には数万~数十万程度になります。
分子量が大きいほど、分子どうしが絡みやすくなり、耐衝撃性が向上します。また溶けたときにも粘度が高くなり、成形しにくくなります。
プラスチック各種の化学式
ポリエチレン …………………… (C2H4 )n
ポリエチレンテレフタレート … (C10H8O4 )n
ポリスチレン …………………… (C8H8 )n
ポリプロピレン ………………… (C3H6 )n
ポリ塩化ビニル ………………… (C2H3Cl )n
アクリル樹脂 …………………… (C5O2H8 )n
上の化学式の( )の外にある「n」は、モノマーを何個繰り返しているかを表しています。これを「重合度」といいます。この数が多いほど、モノマーが多くつながっていることを表しています。つながっているといっても、ただ一本の鎖状になっているだけではなく、複雑に枝分かれしているものもあります。
例えば、ポリエチレンは次のような構成になっています。
モノマー(単量体) ⇒ エチレン ………「C2H4 」
ポリマー(重量体) ⇒ ポリエチレン …「(C2H4 )n」
ポリエチレンの「ポリ」とは、ギリシャ語由来で「多数の・たくさんの」という意味があります。それでポリエチレンは、「エチレン」というモノマーが多数つながって高分子になっています。他の「ポリ」が接頭語になっているプラスチックも同様の意味があります。
例)エチレンテレフタレート ⇒ ポリエチレンテレフタレート
スチレン ⇒ ポリスチレン
プロピレン ⇒ ポリプロピレン
紫外線はプラスチックにとって大敵です。太陽光中の紫外線を吸収し続けると、高分子の分子結合が切断されて劣化が進行します。これを「光酸化反応」といいます。劣化すると変色したり、脆くなったり、ひび割れたりします。そのために、屋外で長期間使用すると、寿命が短くなることがあります。
元素の種類については、こちらの記事をご覧ください。

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熱可塑性と熱硬化性とは?
熱可塑性プラスチックとは、加熱すると軟らかく溶けて成形でき、冷めると再び固まる性質があります。再び加熱することによって、何度も成形し直せる特徴があります。
熱硬化性プラスチックとは、加熱すると軟らかく溶けて成形できるが、一度冷めると、再び加熱しても、軟らかくなることはなく、成形することができない特徴があります。
熱可塑性プラスチック … 再加熱で何度でも成形し直せる
⇒ 下であげられたプラスチックが該当する
熱硬化性プラスチック … 一度硬化すると再加熱しても溶けず元に戻らない
各種プラスチックの特徴・性質など
ポリエチレン【PE】
<特徴>
・原材料が安い
・加工しやすい
・燃えやすい
・水・薬品に強い
<耐熱温度>
・70~110℃
<密度>
・【0.91~0.97 g/cm3】水に浮く。
<用途>
・レジ袋、ラップ、バケツ、容器、ボトル など
ポリエチレンテレフタレート【PET】
<特徴>
・透明で圧力に強い
・透明性がある
・水・薬品に強い
・可塑性がある
・酸に非常に弱い(酸性環境だと劣化が起こります)
<耐熱温度>
・85~200℃
<密度>
・【1.33~1.45 g/cm3】水に沈む。
<用途>
・ペットボトル、食品トレー、包装フィルム、衣類、カーテン など
PETの密度は水よりも大きいので沈むはずですが、実際は水に浮くイメージがあります。どういうことでしょうか?
ペットボトルの容器を構成しているPETの密度は水より大きくて、本来は重くて沈みます。しかし中身が空である(蓋があろうがなかろうが)場合は、空洞には空気が入ってしまいます。空気は水よりも密度が小さいので、結果として容器+中身の全体で考えると水よりも密度が小さくなります。
ちなみに中がほぼ水で満たされていると沈みますし、中途半端に入っている状態だと水の量によって沈んだり浮いたりします。
ポリスチレン【PS】
<特徴>
・透明で固い
・衝撃に弱い
・断熱保存性がある
・発泡ポリスチレンになる
<耐熱温度>
・70~90℃
<密度>
・【1.04~1.09 g/cm3】水に沈む。
<用途>
・食品トレー、台所用品、文具、家具部品、家電筐体 など
「発泡スチロール」とは、ポリスチレンを発砲させたものです。発砲とは、空気の気泡によって体積を大きくすることです。密度が0.02~0.64/cm3と非常に小さくなります。断熱材、食品トレー、梱包材などに利用されます。
発砲ポリスチレンと発泡スチロールとの違いは何ですか?
発砲ポリエチレンとは、ポリエチレンを原料として発砲させたものです。発泡スチロールとは異なり、柔軟で曲げやすい特徴があります。梱包材、食品トレー、建材などに利用されます。
ポリプロピレン【PP】
<特徴>
・薬品に強い
・加工しやすい
・水・薬品に強い
・耐熱性がある(120℃でも変形しない)
<耐熱温度>
・100~140℃
<密度>
・【約0.90 g/cm3】水に浮く。
<用途>
・ペットボトルの蓋、ストロー、自動車部品、包装フィルム、日用品、繊維 など
ポリ塩化ビニル【PVC】
<特徴>
・水・薬品に強い
・燃えにくい(難燃性がある)
・耐久性がある(屋外での長期間使用可能)
<耐熱温度>
・60~80℃
<密度>
・【1.35~1.45 g/cm3】水に沈む。
<用途>
・消しゴム、ホース、水道管、建材、フィルム、シート、工業部品 など
その他の多くのプラスチックが石油を主な原料とするのに対し、PVCは原料の約60%を塩素が占めています。そのために焼却するさいにはダイオキシン類の発生が懸念されるので、適切な条件下での焼却が求められます。
ポリ塩化ビニルデン【PVDC】
<特徴>
・フィルムに加工しやすい
・粘着性がある
・透明性がある
・可塑性がある
<耐熱温度>
・50~60℃
<密度>
・【1.40 g/cm3】水に沈む。
<用途>
・食品包装フィルム、家庭用ラップ、医療・工業分野の包装材 など
アクリル樹脂【PMMA】
<特徴>
・うすく透明な板に成形しやすい
・ガラスのような高い透明性がある
・耐久性がある
・加工しやすい
<耐熱温度>
・60~80℃
<密度>
・【1.17~1.20 g/cm3】水に沈む。
<用途>
・看板、ディスプレイ、水槽、照明カバー、メガネのレンズ、工業部品 など
ポリカーボネート【PC】
<特徴>
・透明性が高いが、ガラスの約200倍の耐衝撃性がある
・難燃性・耐熱性がある
・加工しやすい
<耐熱温度>
・100~120℃
<密度>
・【1.20~1.24 g/cm3】水に沈む。
<用途>
・自動車部品、医療機器、電気・電子部品、建材、日用品 など


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