PR

【地理】「石油」と「原油」の違いは?

スポンサーリンク
学習Q&A 地理
記事内のリンクには広告が含まれています。
スポンサーリンク

原油とは?

油田から採掘したままの状態で、精製されていない石油のことです。

黒くて粘り気のある液体です。炭化水素が主成分ですが、微量の硫黄、窒素、酸素、金属なども含まれている混合物です。

埋蔵状態では、油田、オイルシェール、オイルサンドなどがあります。

精製せいせいとは … 混ざっている不純物を取り除き、目的とする成分を純度を高めた状態にする工程や技術のことです。

原油の埋蔵量は、あくまでの現在の技術で採取可能な埋蔵量(確認埋蔵量)のことです。技術の進歩によって確認埋蔵量は増える可能性があります。

埋蔵量が多い国としては、ベネズエラ、サウジアラビア、イラン、イラク、アラブ首長国連邦、クウェートなどがあり、中東のペルシア湾岸の国々が占めています。

各国の原油生産量

2023年の原油生産量(1日あたり)の上位国です。

順位国名生産量(1,000バレル/日)
アメリカ合衆国19,358
サウジアラビア11,389
ロシア11,075
カナダ05,653
イラン04,662
イラク04,355
中国04,198
アラブ首長国連邦03,922
ブラジル03,502
10クウェート02,908
※引用:Energy Institute Statistical Review of World Energy 2024 – Oil: Production

バレルとは、主に原油などの液体の体積を表す単位です。石油価格も「1バレル = 何ドル」とするのが国際的な慣例です。ちなみに英語で「barrel」とは、酒などを入れる大きな樽のことを表しています。

輸入に頼る日本

資源の少ない日本は、原油のほぼ100%近くを輸入しているのが現状です。ちなみに2021年度の輸入比率は99.7%でした。

輸入先は中東に極端に依存しています。特にサウジアラビア、アラブ首長国連邦の2か国だけ70%以上を占めていて、クウェート、カタールなどの中東諸国が続きます。輸入量における中東の依存度は92.5%に上ります。

過去の中東地域を発端とする石油危機での苦い経験から、輸入先の多角化を図りました。1987年度には中東依存度は68%まで低下しましたが、21世紀に入って再び増加しています。

一方、原油の自給率はわずか0.5%未満で推移しています。新潟県や秋田県などの陸上油田や新潟県沖の日本海にある海底油田で採掘が行われていますが、海外の油田から見ると、小規模なものです。

石油採掘量は、国内の消費量と比べるとごくわずかといえます。尖閣諸島せんかくしょとうなどの東シナ海では、原油の埋蔵が指摘される海域もありますが、本格的な調査に至っていません。

<年度・数値は経済産業省「資源・エネルギー統計年報」を基にしています>

スポンサーリンク

石油とは?

「原油」と「石油製品」をまとめた総称です。 

海外から輸入してきた原油を石油精製工場(石油製油所)で精製すると、さまざまな種類の石油製品ができます。ガソリン・ナフサ・灯油・軽油・重油・アスファルトなどの石油製品に生まれ変わります。

石油製油所 … 国内では、北海道から九州までの工業地帯・工業地域を中心に立地しています。特に、北海道・鹿島(茨城県)・川崎・千葉・愛知・水島(岡山県)などが有名です。
製油所が臨海部に設置される理由としては、海外から輸入された原油を満載した大型タンカーが接岸しやすいからです。製油所の周辺には石油化学関連のコンビナートが形成されます。

蒸留塔と呼ばれる長い塔の中では、塔の下から熱い原油蒸気を入れます。原油は沸点の高い順に、気体から液体に状態変化します。これを沸点の違いを利用し、沸点ごとに石油製品を分けていきます。塔の途中には「トレイ」と呼ばれるお皿のような段があって、そこに種類ごとに液体が溜まっていきます。それらの液体となった成分を抜き出し、別の装置へ送られます。

蒸留塔での位置沸点石油製品主な用途
最上部350℃以上重油
アスファルト
船舶燃料
道路
上部240~350℃軽油トラック
バス燃料
中部170~250℃ジェット燃料
灯油
ジェット機燃料
ストーブ
下部30~180℃ガソリン
ナフサ
車燃料
石油化学製品
最下部30℃以下石油ガス
(LPガス)
タクシー燃料

重油

蒸留した後に残る高粘度の残油を主成分としています。

日本のJIS規格では「A重油」「B重油」「C重油」に分類されています。

  • A重油 … 軽油主体で最も軽くて、粘りが弱いです。
    ⇒ 小・中型ボイラー、小型船舶などに使われます。
  • B重油 … AとCの中間で、軽油と残油の混合です。
    ⇒ ボイラー、船舶などに使われていますが、現在はC重油に統合される形で流通量が減少しています。
  • C重油 … 残油主体で最も重くて、粘りが強いです。
    ⇒ 大型ボイラー、発電所、大型船舶などに使われます。

アスファルト

アスファルトとは、原油から得られる黒色の粘り気のある物質です。日本では主に道路や駐車場の舗装のつなぎ材として、石や砂と混合して用いられています。さらに、屋根などの防水材、各種工業製品の材料として用いられています。

常温では固体~半固体で、高温では軟らかくなり、低温では再び固まる性質があります。高い防水性・接着性・耐久性を持っています。

アスファルトには、原油を蒸留して精製される石油由来のアスファルト以外に、天然アスファルトもあります。これは、原油が地表近くに染み出して、長期間にわたり変質した物質で、中東周辺では古代から利用されている記録があります。日本ではほとんど使われていません。

軽油

軽油はディーゼルエンジン車の燃料として使われています。その他にも、発電機、建築機械・農業機械などの燃料として使われています。日本では硫黄分が極めて少ない「サルファーフリー軽油」が一般的に流通しています。

軽油はガソリンと比べて引火しにくいので、比較的安全といえます。

軽油は、その名称から「軽自動車専用の燃料」と誤解されることがあります。しかし軽自動車にはディーゼルエンジンが搭載されないので、ガソリンスタンドでは、軽自動車へ誤って給油することを防ぐために、「軽油」ではなく「ディーゼル」と表記されます。

ジェット燃料

文字通り、航空機用のジェットエンジンに使用する燃料のことです。成分としてはガソリンや灯油に近いです。

高い発熱量があり、重量あたりのエネルギー効率が高いです。燃焼性が良いので、安定して長時間飛行することができます。さらに、低温でも固まりにくいので、極寒の高高度を安定的に飛行するのに適しています。航空機のトラブルは命に直結するので、ジェット燃料には厳しい規格と品質管理が必要です。

SAFとは、使用済みの食用油・廃食油、バイオマス、廃棄物などの再生可能資源を原料に製造され、従来のジェット燃料と同じように使える「持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel)」の略称のことです。これによってライフサイクル全体で二酸化炭素の排出量を削減できます。しかし、世界のジェット燃料に占める割合は数%未満と少ないのが現状です。

灯油

主に家庭用暖房給湯、調理用燃料として使われる比較的安全で扱いやすい燃料油です。

日本のJIS規格では「1号灯油」と「2号灯油」に分類されています。

  • 1号灯油 … 高品質で、硫黄などの不純物が少なく、煙や臭いが出にくく、安全性の高い灯油です。「白灯油」とも呼ばれます。
    ⇒ 暖房用、厨房用など(家庭用燃料として適している)
  • 2号灯油 … 1号灯油よりも品質が低く、硫黄などの不純物が多く、黒煙や悪臭が出やすい灯油です。見た目の色から「茶灯油」とも呼ばれます。
    ⇒ 石油発電機用、工場の溶剤・洗浄用など(家庭用燃料には適していない)

家庭用として流通している灯油は、通常は1号灯油(白灯油)のことを指します。仮に2号灯油を家庭用ストーブなどに使ってしまうと、煙やススが出やすく、不完全燃焼や異常燃焼を起こすことがあるので、注意が必要です。

ガソリン

主に自動車用の燃料として用いられる揮発性の高い石油製品です。日本ではその揮発性の高さゆえに、消防法上は引火性液体として厳重な取り扱いが求められます。小さな火花や静電気でも着火する可能性があります。

オクタンとは、ガソリンがノッキング(異常燃焼)を起こりにくさを表す指標です。数値が高いほどノッキングしにくく高性能エンジン向きの燃料となります。オクタン価が「100」だとノッキングしにくく、「0」だとノッキングしやすくなります。

オクタン価(単位:RON)

レギュラーガソリン … 約90RON
ハイオクガソリン …… 約100RON
⇒ ハイオクは「高オクタン価ガソリン」の略称です。

ナフサ

ナフサは、原油を蒸留して得られる揮発性の高い炭化水素混合物で、粗製ガソリンとも呼ばれます。軽質ナフサ(ライトナフサ)、重質ナフサ(ヘビーナフサ)があります。

ナフサを熱分解すると、エチレン、プロピレン、ベンゼン、トルエン、キシレンなど、多種多様な原料が生まれます。これらは、プラスチック、合成繊維、合成ゴム、合成洗剤などに生まれ変わります。

つまり、現代の生活にあるありとあらゆる石油化学製品を考え出す源がナフサにあるといえます。このことからナフサは「石油の頭脳」と呼ばれています。

LPガス

LPガスとは「liquefied petroleum gas」の略で、液化天然ガスのことです。発熱量が高くて、少ない量で大きな熱量が得られます。

液体にすると、体積は約250分の1とかなり小さくなるので、輸送や貯蔵が容易になります。無臭のために臭いを付けて、ガス漏れしたときのために備えています。

LPガスのうち、プロパンを主成分とするガスを「プロパンガス」といいます。

都市ガスとプロパンガスとの違いは何ですか?

原料が違います。LPガスは液化石油ガスで、主成分はプロパンやブタンです。一方で、都市ガスは液化天然ガスで、主成分はメタンです。LPガスは空気よりも重く、都市ガスは空気よりも軽いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました