もともとは「鳥 (とり)」が由来
漢字の「烏 (からす) 」と「鳥 (とり) 」の両者は、形がほぼ同じで紛らわしいので、見間違えやすい文字です。実はこの2つの漢字には関連性があります。「鳥」という漢字があって、そこから一画取られて「烏」ができました。(諸説あります)
烏 …【訓読み】からす 【音読み】ウ
鳥 …【訓読み】とり 【音読み】チョウ
カラス … 鳥類カラス科カラス属の鳥です。黒色の外見が特徴的です。鳥類の中では非常に知能が高く、環境への適応もできます。雑食性で多様なものを食べます。南極を除く全世界に約45~50種類が分布していて、日本全国にはハシブトガラスとハシボソガラスなどが生息しています。
烏も鳥も象形文字で、烏や鳥の形から成り立っています。
烏の漢字を見てみると四画目の横線が一本足りません。

カラスは全身が真っ黒です。さらに目も黒く見えるために、カラスの目がどこにあるか判別しにくくなります。こうして、「鳥」の漢字の中から目にあたる一画を省いて、「烏」が成立しました。
多くの鳥は黒い瞳孔と比べて虹彩の色が違うので、瞳孔と虹彩の区別ができます。しかしカラスの場合、黒い瞳孔が大きくて虹彩は暗いので、外から見ると目全体が黒く見えます。これは虹彩や瞳孔に含まれるメラニン色素のためで、光をよく吸収して網膜を守る役割があります。目と体の色が揃うことによって、外敵から目の位置が悟られにくくする効果があります。
※瞳孔 … 眼の中心の黒目の部分です。
※虹彩 … 瞳孔のまわりを取り囲んでいる有色の膜の部分です。
「烏 (からす)」から抱くイメージとは
烏から抱くイメージには、良いものと悪いものの両方があります。
西洋では、神の使者であったり不吉な予兆を示したりしています。
また日本では神話に出てくる伝説上の「三本足のカラス (ヤタガラスともいいます)」は太陽の化身とされています。日本書紀によると、神武天皇が東征するさいに、このカラスが大和国まで道案内したと記述されています。ちなみに日本サッカー協会 (JFA) のシンボルマークにもヤタガラスが描かれています。一方で不吉な予兆とされたりしています。
| 良い面 | 悪い面 | |
|---|---|---|
| カラスのイメージ | 神秘・神の使い | 不吉・不浄 |
| 色が象徴すること | 高貴さ | 恐れ・暗さ |
「烏 (からす)」を使った言葉・地名
烏を使った言葉にはどのようなものがあるでしょうか?
「烏合の衆」
烏を使った言葉として一番有名かもしれません。「うごうのしゅう」と読みます。
これは、規律や統制がなく、ただ寄り集まっているだけの大勢の人々を皮肉った言葉です。リーダーシップとなるような人がいないので、方向性が定まらずふらふらしている集団を消極的に表現しています。古代の中国の歴史書で出てくる言葉ですが、江戸時代以降、日本でも浸透していきました。
実際のカラスは、全く社会性がない訳ではなく、高度な知能を使って、一定の規律のもとで行動していることが知られています。そのために、烏合の衆が意味している通りではないともいえます。あくまでの人々がからすに抱いてきたイメージに基づいた表現といえます。
「烏の行水」
この言葉は「からすのぎょうずい」と読みます。
これは風呂の入る時間が非常に短いことをたとえた言葉です。カラスは水浴びをしても、あっという間に水から出てしまいます。そのような行為を人の入浴に当てはめました。
もともと行水は、宗教的な身を清める行為を指していましたが、中世以降は日常的な水浴びや入浴を指すようになりました。そして、行水と烏を組み合わせた言葉が、江戸時代中期の銭湯を舞台とする談義本である「銭湯新話」の中に登場し、早風呂をからかう表現として定着するようになりました。
「烏の行水」は日本で生み出された独特の表現といえます。
「烏天狗」
この言葉は「からすてんぐ」と読みます。
烏のようなくちばしと黒い翼を持つ姿で描かれる天狗の一種で、伝説上の妖怪です。山伏装束を着ていて、剣術に長けています。カラスのように飛ぶ能力もあるとされています。
古代から修行の場として有名な鞍馬山 (京都市左京区) で、幼少期の牛若丸 (源義経) は、烏天狗から剣術を教えられたという伝説が残っています。
「烏帽子」
この言葉は「えぼし」と読みます。
平安時代以降の公家や武士の男子が頭にかぶった黒色の帽子状の冠で、儀式や日常で用いられました。現在でも神職や相撲の行司などが着用しています。
地名の使用例
・青森県五所川原市烏森(からすもり)
・栃木県芳賀郡茂木町烏生田(えごうだ)
・東京都世田谷区北烏山・南烏山(きたからすやま・みなみからすやま)
・京都府下京区烏丸(からすま)
・大阪府天王寺区烏ケ辻(からすがつじ)
・長崎県佐世保市烏帽子町(えぼしちょう)
など
「烏 (からす)」は人名漢字
この漢字は、2004年9月に人名用漢字に追加されました。現在は戸籍上の名前 (姓・名ともに) の漢字として使用できます。姓や名ともに使用例があります。

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