PR

【化学】燃料電池とは?

スポンサーリンク
学習Q&A 化学
記事内のリンクには広告が含まれています。
スポンサーリンク

概要

燃料電池とは、水素と空気中の酸素を化学反応させて電気と熱を取り出す発電装置のことです。新時代を担うエネルギーとして期待されています。何よりも環境にやさしいということで、環境問題への関心が高まる中で実用化が進んでいます。

燃料電池は新しい技術に見えますが、意外と歴史は古く、1839年にイギリスのウィリアム・グローブによって燃料電池の原形が考え出されました。しかし、発明当時は技術面や価格面な問題などのために、実用化には至りませんでした。20世紀に入って研究が進み、1960年代の宇宙開発競争の時代にはNASAでも採用されて、アポロなどの宇宙船に搭載されました。

燃料電池は、一次電池または二次電池のどちらかに分類されますか?

燃料電池は、一次電池・二次電池のどちらにも分類されません。燃料電池は、使い切りの一次電池や、繰り返し使用できる二次電池のような一般的な「電池」とは異なり、化学反応によって発生した電気エネルギーを継続的に取り出すことができる発電装置です。電池という名称はついていますが、発電機能を持っているということで、特異な存在であるといえます。

一次電池や二次電池の詳しい解説については、こちらのリンクの記事をご覧ください。

スポンサーリンク

仕組み

燃料電池の仕組みを理解する前に、水の電気分解について考えましょう。水の分解は電気分解で行われます。つまり電気エネルギーを利用して、水を水素と酸素に分解しています。水を電気分解する必要性については、リンク先の記事をご覧ください。

水 →【電気エネルギーを利用】→ 水素 + 酸素

燃料電池は、水の電気分解の逆の発想で、電気エネルギーを取り出しています。つまり水を電気分解するときに、電気エネルギーを利用したわけですから、その逆に水素と酸素を反応させれば、電気エネルギーを取り出せると考えられたのです。

水素 + 酸素 →【電気エネルギーを取り出す→ 水

下のイラストで、リン酸型の燃料電池の仕組みについて見てみましょう。

まず、片方の電極(負極)に水素を送り込み、一方の電極(正極)に酸素を送り込みます。両極の間には電解液が入っています。電解液としてリン酸(HPO)の水溶液を使用しています。入ってきた水素や酸素はすべてが反応に使われるわけではありません。イラストにあるように、反応しないものはそのまま出ていきます。

ちなみに負極を「燃料極」、正極を「空気極」とも呼びます。また電極には、白金触媒をはっきんしょくばい 含む多孔質の黒鉛板や金属膜などが用いられます。

触媒 … 自身は反応前後でほとんど変化せずに、特定の化学反応のスピードを速めてくれる物質のことです。

白金 … 元素記号でPtで、プラチナの名称を持っている、非常に貴重な金属です。白っぽい光沢があります、融点が高いために高温にも耐え、耐食性があるため、触媒としても使われます。

  1. 負極の左側の空間に水素分子(H2)が流れ込んでくる。
  2. 負極では、電極の触媒作用によって、水素分子が電子を放出して水素イオン(H+)になる。【H2 + e → H+
  3. リン酸の水溶液を水素イオンが正極側に移動していく。その間、電子も回路を伝って正極側に移動する。これによって電球が点灯する。
  4. 正極で、水素イオンが原子を受け取って水素になり、さらに酸素分子とも反応して、水分子(HO)になる。【O + 4H+ + 4e → 2HO】
  5. 水が排出される。

このように水を排出するだけなので、クリーンな発電といえます。

リン酸型燃料電池以外に、アルカリ型燃料電池もあります。アポロ宇宙船に積み込まれたのはアルカリ型になります。

スポンサーリンク

メリット・デメリット

燃料電池のメリットやデメリットは何でしょうか? 

メリット

酸素の確保 …… 酸素は空気中に豊富に存在するので、確保することが容易です。

発電効率が高い …… 従来の火力発電が30~40%程度に抑えられているのに対して、燃料電池は最大で65%の発電効率があります。コスパの良い発電方法といえます。

環境に良い …… 発電効率が高いのに、環境面へ悪影響が少ないです。排出するのは水で、地球温暖化の原因となるような二酸化炭素や有害物質などの排出がありません。

静かな発電 …… 従来の発電方法と異なり、機械が激しく動くわけではないので、モーター音などの騒音や振動が抑えられます。

天候に影響されない …… 太陽光発電や風力発電のように、天候に左右されずに電力を供給できます。その結果24時間供給することが可能です。

デメリット

高コスト …… 燃料電池のシステムを整備するには、依然としてそれなりのコストがかかります。ただし技術の進歩や普及次第によっては価格の低下も期待できます。

水素の確保 …… 酸素に対して水素の確保に関しては容易にはいきません。水素は通常の空気中にはごくわすかにしか存在しておらず、自然界では単体ではほとんど存在していないからです。そのために化石燃料(石炭や天然ガス)などから取り出されます。
このように水素を生成するのは、それなりの技術やコストがかかりますし、その過程において少量の二酸化炭素を排出してしまうことがあります。

水素の貯蔵 …… 水素は周期表でも分かるように、密度が非常に小さい物質です。体積当たりの質量が小さいために拡散しやすく、容器から漏れやすいので、貯蔵には特殊な技術が求められます。水素は高圧で圧縮したり低温にしたりして貯蔵するので、手間がかかり、コストにも跳ね返ってきます。

水素の供給地点の不足 … 燃料電池自動車(FCV)に必須なのが「商用水素ステーション」です。しかし、従来のガソリンスタンドと比べると普及率はまだまだです。このようにインフラがまだ整備されていないので、燃料電池に依存する生活を実現するには時間がかかります。

FCV … FCVは「Fuel Cell Vehicle」の略で、燃料電池自動車という意味があります。車載の燃料電池で発電を行ない、得られた電力によってモーターを駆動して走行します。排出するのは水だけになるので、二酸化炭素は発生しません。「究極のエコカー」といわれています。燃料電池に必要な酸素は空気中から取り入れられますが、水素に関しては水素ステーションから補給する必要があります。
2026年の時点で全国に約160ヶ所しかありませんが、拡大していく予定です。ちなみにガソリンスタンドはピーク時に比べるとかなり減少していますが、それでも約28,000ヶ所もあります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました