概要
私たちの身のまわりには、さまざまな電池であふれています。それらの電池は用途に合わせて作られています。
電池は次のように分類されます。
化学電池 … 一次電池(マンガン電池・アルカリ電池・酸化銀電池など)
… 二次電池(鉛蓄電池・ニッケル水素電池・リチウムイオン電池など)
… 燃料電池
物理電池 … 太陽電池、原子力電池 など
私たちが普段電池と呼んでいるのは、上の分類の「化学電池」にあたります。化学電池は化学変化によって電気を起こし、電気エネルギーを取り出す装置です。一方、物理電池は化学変化を行わずに、光や熱などのエネルギーを電気エネルギーに変える装置です。
燃料電池は化学電池に分類されますが、一次電池にも二次電池にも属しません。
一次電池と二次電池は次のような意味があります。
一次電池 … 放電すると電圧が低下して、元に戻らない電池
二次電池 … 外部から逆向きの電流を流すと、低下した電圧が回復し、繰り返し使用可能な電池
「電池」という言葉はいつからあるのですか?
英語では “battery” ですが、幕末の江戸幕府の関連書籍の中で「電池」という言葉で翻訳されたのが初めてといわれています。電池の仕組みで学習するように、電池は電解質の水溶液を利用して電子を動かしています。つまり液体を使っていたので、容器に入った水が溜まっている空間を表す「池」という言葉が当てはめられたと考えられます。
この記事では、一次電池と二次電池について解説します。
電池の歴史
ここで、一次電池と二次電池の歴史について振り返っておきましょう。
古代から電池の原形となるものはありましたが、1780年頃、イタリアの医師ガルヴァーニがカエルの足の筋肉の神経を利用して金属と繋げると、カエルの足がぴくっと動くことに気付きました。この仕組みが電池に応用されていくことになります。
本格的な電池は、1799年にイタリアのアレッサンドロ・ボルタが発明しました。世界で初めて連続的に電気を作り出すことに成功しました。中学の理科の授業で最初に学習する「電池」はこのボルタの電池の仕組みと似ています。いわゆる「ボルタ電池」といわれています。
ボルタ電池で分極が起こるという欠点を改善したものとして、1836年にイギリスの学者ジョン・フレデリック・ダニエルが「ダニエル電池」を発明しました。
ボルタ電池とダニエル電池についての詳しい解説は、リンク先の記事をご覧ください。
これまでの電池は液体があるために、液漏れするリスクがありました。これを改善するために、1888年にドイツのカール・ガスナーが電解液を石膏で固めた電池を発明しました。液体を必要としない乾燥した電池ということで、日本では「乾電池 (英語:dry battery) 」と名付けられました。ちなみに同時期に日本人の実業家である屋井先蔵も乾電池を作り上げていました。ガスナーよりも少し前に完成していたので、世界初の乾電池は屋井の電池といわれています。
乾電池といっても、全く液体(電解液)が無いわけではありません。液体がそのまま入っているわけではありませんが、ペースト状や材料に染み込ませていて、簡単にこぼれないようになっています。そのために異常が発生すると少し液漏れすることがあります。
乾電池としては、1868年のジョルジュ・ルクランシェが発明した電池を起源とする「マンガン電池」が普及しました。さらに1960年代にはより容量がある「アルカリ電池」が普及します。アルカリ電池の性能が向上するにつれて、アルカリ電池がマンガン電池に替わって普及していきます。
1970年代以降は、小型電池である「酸化銀電池」や「リチウム一次電池」も普及します。
ここまでは一次電池の話でしたが、ここからは二次電池の話に移ります。
時間が前後しますが、1859年にはフランスのガストン・プランテによって「鉛蓄電池」が発明されました。この電池の画期的だったことは、充電して繰り返し使えることでした。1899年には充電式電池として「ニカド電池」も発明されました。こうして二次電池も身近なものになっていきました。
21世紀が近づくにつれ、充電式電池(二次電池)は飛躍的に進化し、私たちの生活に浸透していきます。1990年代以降は、「ニッケル水素電池」や「リチウムイオン電池」などが普及しています。
さまざまな一次電池
一次電池とは、充電して繰り返し使用することができず、一度放電すると元に戻らない電池のことです。つまり使い切りの電池のことです。さまざまな一次電池について紹介します。
以下の各電池で示した用途は、あくまでも一例です。
マンガン電池
特徴:円筒形の乾電池の代表格でした。
小さな電流で、短時間で断続的に作動する機器に有効です。
価格:アルカリ電池よりも低価格
用途:置き時計・掛け時計・リモコン など
以前はマンガン電池が主流でしたが、現在はマンガン電池の市場規模はかなり小さくなっています。日本では2008年に国内での製造を終えています(国内での販売は継続されています)。マンガン電池にかわってアルカリ電池などが主流となっています。
アルカリ電池 (アルカリマンガン電池)
特徴:こちらも円筒形の乾電池の代表格です。
正式名称は「アルカリマンガン電池」です。
大きな電流で、連続的な使用で、使用頻度が高い機器に有効です。
価格:マンガン電池よりも高価格
※ただしマンガン電池の約2倍長持ちするので、価格差ほどの負担は無い。
用途:ゲーム機・おもちゃ・LEDライト・デジタルカメラ・シェーバー など
特性の異なるマンガン電池とアルカリ電池は併用することは厳禁です。
リチウム一次電池
特徴:円筒形やボタン形があります。
小型ですが大きな電流で長持ちします。
過酷な温度でも使用できます。
長期間交換しにくい機器などに使われます。
用途:電子時計・電卓・リモコンなどの小型電子機器
火災報知器・各種センサー・非常用電源などの交換の難しいインフラ・防災機器
コンピューターのメモリーバックアップ電源
酸化銀電池
特徴:ほとんどはボタン形になります。
長寿命で電圧が安定し、小型でも容量が大きいです。
1970年代に普及しましたが、現在では市場は縮小しつつあります。
用途:腕時計・電卓・カメラ・補聴器・医療機器 などの小型の精密機器
空気電池
特徴:近年開発の進む、高エネルギーで軽量な電池です。
酸素を利用して化学変化によって発電します。
用途:補聴器 など
さまざまな二次電池
二次電池とは、充電して繰り返し使用することができる電池のことです。このことから二次電池のことを「蓄電池」や「充電式電池」ともいいます。さまざまな二次電池について紹介します。
以下の各電池で示した用途は、あくまでも一例です。
鉛蓄電池
特徴:1859年に発明された最古の蓄電池です。
低価格で幅広い温度で動作します。
鉛を使用しているので重量が大きくなります。
用途:自動車用のバッテリー・フォークリフト・小型飛行機 など
バックアップ電源・非常用電源機器 など
ニカド電池 (ニッケル・カドミウム蓄電池)
特徴:1899年に発明された歴史のある充電式電池です。
正式名称は「ニッケル・カドミウム蓄電池」です。
現在は環境への負荷から、日本も含めた各国で使用制限が進んでいます。
用途:電動工具・非常用機器 など
ニッケル水素電池
特徴:1990年代以降普及した電池です。
充電式で、大きな電流で長時間使用できます。
リチウムイオン電池ほどではないが、エネルギー密度が高い。
用途:リモコン・ゲーム機・懐中電灯 などの家庭用機器
ロボット・ハイブリッド車・電動工具・バックアップ電源 など
リチウムイオン電池
特徴:こちらも1990年代以降普及した電池です。
充電式にも関わらず、長寿命・小型軽量・大容量です。
エネルギー密度がかなり高いです。
用途:携帯電話・スマートフォン・ノートパソコン・デジタルカメラ などの電子機器
ハイブリッド車・電気自動車 など
太陽光発電や風力発電のエネルギー設備 など
リチウムイオン電池の開発の功績として、日本人の吉野彰氏を含む3名が、2019年のノーベル化学賞を受賞しました。
近年、モバイルバッテリーが発火や発熱するトラブルが相次いでいますが、これらのバッテリーに使用されているのがリチウムイオン電池です。多くの原因として、製造工程での不備や電池の劣化、さらには衝撃を加えるがきっかけになることなどが考えられます。


コメント