概要
ヨーロッパは多種多様な国々で構成されていますが、言語の多くは「インド・ヨーロッパ語族」に属し、さらにゲルマン系、ラテン系、スラブ系に3系統に分類されます。
同じ系統の言語では、文法や発音が似ている特徴が見られます。例えば、各言語の「おはようございます」という挨拶を見ても、それぞれの言語グループでお互いに似ていることが分かります。
ラテン系は「ロマンス語系」、スラブ系は「スラヴ語系」とも呼びます。
インド・ヨーロッパ語族とは何ですか?
インド・ヨーロッパ語族は、世界で最も広範囲に広がる言語族の一つです。主にヨーロッパ・南アジア・西アジアで話されている多くの言語を含んでいます。話者数は世界で約30億人で、世界最大の言語グループです。
具体的には、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、ロシア語、ヒンディー語、ペルシア語、ギリシャ語、ラテン語などのヨーロッパの多くの言語が含まれています。これらの言語グループは共通の祖先である言語から進化してきたと考えられています。
ゲルマン系
ゲルマン語派などの呼び方もあります。
主にヨーロッパ北部・西部を中心に話される言語グループのことです。歴史的には古代のゲルマン民族が話した言語つまりゲルマン祖語から現在のように細分化されていきました。
ゲルマン人 … 紀元前には現在のオランダ、ライン川の下流域、ドナウ川の北部のあたりにいた民族です。彼らは4~6世紀にゆっくりと大移動した後に、現在のドイツ、オランダ、イギリス、スウェーデンなどに広く居住するようになりました。ちなみにドイツを英語でいうと「German」ですが、これをドイツ語風に発音すると、「ゲルマン」となります。
ゲルマン祖語は、文献的な資料が乏しい言語なので、実際にどのような言葉や発音が使われていたのかは不明です。紀元前後に北ヨーロッパを中心に話されていたと考えられます。
その後ゲルマン祖語は、東ゲルマン語派、西ゲルマン語派、北ゲルマン語派に分化されましたが、そのうちの東ゲルマン語派については死語になっています。
死語 … 現在では日常生活でほとんど使われなくなった言語のことを指します。
主に以下の言語が含まれます。
東ゲルマン語群 … ゴート語(死語) など
西ゲルマン語群 … 英語、ドイツ語、オランダ語 など
北ゲルマン語群 … デンマーク語、スウェーデン語、ノルウェー語、アイスランド語 など
英語は、文法的にはインド・ヨーロッパ語族の分類ではゲルマン系に属しますが、単語などはラテン語やフランス語などをはじめとするラテン系の影響をかなり受けています。

| 主な言語 | ヨーロッパでの話者数(推定) | 世界での話者数(推定) |
|---|---|---|
| ドイツ語 | 約9,500万人 | ー |
| 英語 | 約7,000万人 | 約39,000万人 |
| オランダ語 | 約2,400万人 | ー |
| スウェーデン語 | 約1,000万人 | ー |
| ノルウェー語 | 0,約500万人 | ー |
※話者は第一言語としている場合
≪主な言語の「おはようございます」≫
英語 … Good morning(グッド モーニング)
ドイツ語 … Guten Morgen(グーテン モルゲン)
オランダ語 … Goedemorgen(フーデモルヘン)
スウェーデン語 … God morgon(グー モロン)
ノルウェー語 … God morgon(グー モロン)
ラテン系(ロマンス諸語)
ロマンス語派、ロマン語などの呼び方もあります。
主にヨーロッパ南部・西部を中心に話される言語グループのことです。歴史的にはローマを建国したラテン人が使っていたラテン語から現在のように細分化されていきました。
ラテン語は古代ローマ帝国の公用語で、ローマ帝国の拡大により当時の地中海を中心とした世界では共通語となりました。このラテン語を表記するのにラテン文字が使われていましたが、このラテン文字が現在のアルファベット(表音文字体系)に通じていて、世界中の様々な言語で使われています。
現在ではラテン語自体を母語とする人はいないので、日常的には死語とみなされていますが、法律学・医学の専門用語、カトリック教会の公文書、バチカン市国の公用語として使われています。このように現在でも大きな影響を与えている言語なのです。
主に以下の言語が含まれます。
スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、フランス語、ルーマニア語 など

| 主な言語 | ヨーロッパでの話者数(推定) | 世界での話者数(推定) |
|---|---|---|
| フランス語 | 約7,200万人 | 約39,600万人 |
| イタリア語 | 約6,500万人 | ー |
| スペイン語 | 約4,000万人 | 約48,400万人 |
| ルーマニア語 | 約2,400万人 | ー |
| ポルトガル語 | 約1,000万人 | 約25,000万人 |
※話者は第一言語としている場合
≪主な言語の「おはようございます」≫
フランス語 … Bonjour(ボンジュール)
イタリア語 … Buongiorno(ブオンジョルノ)
スペイン語 … Buenos días(ブエノス ディアス)
ルーマニア語 … Bună dimineața(ブナ ディミネアツァ)
ポルトガル語 … Bom dia(ボン ジア)
スラブ系(スラヴ系)
スラブ語派などの呼び方もあります。
主にヨーロッパ中部・東部を中心に話される言語グループのことです。歴史的には古代のゲルマン民族が話した言語つまりスラブ祖語(スラヴ祖語)から現在のように細分化されていきました。
スラブ祖語も、文献的な資料が乏しい言語なので、実際にどのような言葉や発音が使われていたのかは不明です。およそ6世紀から9世紀にかけて、東ヨーロッパからバルカン半島にかけて広がっていたスラブ人の共通の言語と考えられます。
主に以下の言語が含まれます。
ウクライナ語、ベラルーシ語、ロシア語、チェコ語、スロバキア語、ポーランド語、セルビア・クロアチア語、スロベニア語 など

| 主な言語 | ヨーロッパでの話者数(推定) | 世界での話者数(推定) |
|---|---|---|
| ロシア語 | 約11,000万人 | 約14,500万人 |
| ポーランド語 | 約4,500万人 | ー |
| ウクライナ語 | 約4,000万人 | ー |
| セルビア・クロアチア語 | 約2,100万人 | ー |
| チェコ語 | 約1,100万人 | ー |
※話者は第一言語としている場合
≪主な言語の「おはようございます」≫
ロシア語 … Доброе утро(ドーブラエ ウートラ)
ポーランド語 … Dzień dobry(ジェン ドブリ)
ウクライナ語 … Доброго ранку(ドーブロホ ランク)
セルビア・クロアチア語 … Dobro jutro(ドブロ ユートロ)
チェコ語 … Dobré ráno(ドブレー ラーノ)
その他の系統
上記のインド・ヨーロッパ語族とは異なる「ウラル語族」に属しているのが、ハンガリー語、フィンランド語、エストニア語があります。このようにヨーロッパは地続きですが、多様な起源を持つ言語が入り混じっているのです。
ウラル語族とは何ですか?
ウラル語族とは、主に北ヨーロッパからロシアなどに分布する語族です。ウラルはウラル山脈に由来しています。インド・ヨーロッパ語族と比べて話者数は約2,300万人ほどの小規模な言語グループです。
また、この他にもスペインとフランスをまたがるバスク地方で話されているバスク語があります。この言語はインド・ヨーロッパ語族やウラル語族などの周囲のどの言語とも関わりを持たず、起源が不明な孤立言語で、独自の文法や語彙を持っています。



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