電池とは
化学変化を利用して、物質が持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変える装置を電池または化学電池といいます(化学電池以外には物理電池があります)。
この仕組みの電池をつくったのはイタリアの物理学者であるボルタです。1791年にイタリアの別の化学者によって、動物の筋肉や神経を使って電気が流すことができることは分かっていましたが、1799年に動物の身体ではなく2種類の異なる金属と電解液を利用することによって、電流を起こす仕組みを発明しました。
この仕組みでできた電池を「ボルタ電池」ともいいます。いわゆる今日知られている一般的に電池の元祖のようなものです。ちなみに電圧の単位である「ボルト」は彼の名前からとられています。
この記事では「ボルタ電池の仕組み」について解説しますが、教科書などによってはボルタを付けずに、単に「電池の仕組み」と紹介されています。
どんな条件が必要か?
電池とは何だったでしょうか? もう一度繰り返しますと、化学変化によって物質が持っている化学エネルギーを電気エネルギーに変えるときに、電子が動くことによって直接電気を取り出すことです。
電池に利用する金属は次の条件が必要です。
・2種類の異なる金属
→ 同じ種類の金属であると電気は流れません
・イオンのなりやすさに差があるほど良い
→ 異なっていれば、亜鉛と銅以外の組み合わせでも良い
下の表を見てください。亜鉛の方が銅よりもイオンになりやすいことが分かります。金属のイオンへのなりやすさを「イオン化傾向」といいます。つまり、同じ金属だとイオン化傾向に差がないので、電気を流すことはできません。

次に2種類の異なる金属板を液体に入れる必要があります。この液体は金属が溶けやすい(イオンになりやすい)電解質である必要があります。この実験では塩酸を使います。
まとめると電池には以下の条件が必要なことが分かります。
2種類の異なる金属 & 電解質の液体
電池の仕組み
電池の仕組みについて考える前に、液体で何が起こっているか整理しましょう。この記事では塩酸(塩化水素の水溶液)を使います。
塩酸は次のように電離しています。
HCl → H+ + Cl-
上の式のように、塩酸(HCl)は水素イオン(H+)と塩化物イオン(Cl-)に電離しています。このうち水素イオンが重要な役割を果たします。
電池には+極(正極)とー極(負極)があります。電子は-から+に移動しますが、電子を与える側が-極、電子を受け取る側が+極になります。ちなみに電流の向きは+からーで、電子の流れる向きとは逆です。
亜鉛版と銅板は以下の極になります。
亜鉛版は【-極】 … 金属が溶けだす → イオンなるときに電子を放出する → 電子を与える側
銅 板は【+極】 … 金属に変化なし → イオンにならない → 電子を受け取る側
以上のことから、電子は亜鉛版(ー極)から銅板(+極)に移動していくことが分かります。
ー極では亜鉛が亜鉛イオンになって溶け出します。亜鉛イオンは2価の陽イオンなので、イオンになるときに電子を2個放出します。
ー極からやって来た電子は+極まで移動し、+極付近にある水素イオンがそれを受け取ります。水素イオンは1価の陽イオンなので、1個の電子を受け取ることができます。受け取った水素イオンは水素原子になり、さらに水素原子が2個集まって1個の水素分子になります。
亜鉛版【ー極】… Zn → Zn2+ + eー
銅 板【+極】… H+ + eー → H → Hが2個集まって → H2

ボルタ電池の問題点
ボルタは、金属を利用した電池を発明したという点においては大きな功績を残しましたが、この電池にも問題点がありました。
まずボルタの電池は、それまでになかったほどの電流を持続的に取り出すことに成功したものの、時間とともに急激に電流が流れなくなるという問題がありました。
その理由は、+極(正極)に大量の水素が発生してしまうからです。水素は気体なので水溶液中では気泡になってしまいます。電流が流れれば流れるほど気泡は増えていき、+極のまわりは水素の気泡で覆われてしまいます。そうすると新たな水素イオンが気泡に邪魔されて近づけなくなるので、電子の受け取り手である水素イオンがいなくなり、結果として電圧が落ちてしまうのです。この現象を「分極」といいます。
さらに別の問題もあります。それは水素には可燃性があるという点です。電流を流し続けて水素ガスが溜まっていくと、火花や火気によって爆発する危険が出てきます。そのために取り扱いに細心の注意が必要なのです。

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