前線とは
寒気(冷たい空気のかたまり)と暖気(暖かい空気のかたまり)の境目の地表に接する部分を「前線」といいます。
下のイラストを見てください。地表に接する部分は「前線」ですが、上の空間部分は「前線面」といいます。「前線」と「前線面」の違いに注意してください。

前線には「温暖前線」「寒冷前線」「停滞前線」「閉塞前線」の4種類があります。それぞれがどんな特徴を持つ前線なのか調べてみましょう。
前線の話をするためには、「寒気と暖気の性質の違い」や「雲ができる仕組み」について理解しておくことが必要です。
寒気と暖気の性質の違い
暖かい空気は冷たい空気と比べて密度が小さい
冷たい空気は暖かい空気と比べて密度が大きい
結果として、冷たい空気の方が暖かい空気よりも重くなります。
例えば、冬に部屋を暖めていても、足元の方が寒く感じるのは、暖めた空気が上の方に行ってしまうからです。また、空気(気体)に限らずに、水(液体)でも同じです。風呂場の浴槽の暖めた水は時間が経つと、下の方に冷たい水、上の方に暖かい水が集まります。このように、実生活でこのような現象を体感しています。
雲ができる仕組み
空気が上昇すると、空気が膨張し、気圧や気温が変化して、空気中に水滴ができます。それらが氷の粒なって雲を形成します。粒が大きく成長したら下に落ちて雨や雪となります。
雲ができる詳しい解説について、以下の記事をご覧ください。

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寒冷前線と温暖前線
寒冷前線と温暖前線について見てみましょう。
寒冷前線
寒気が勢いよく、暖気の下にもぐりこんでできる前線です。この前線では寒気によって暖気が激しく持ち上げられるので、急激な上昇気流が発生します。これによって積乱雲などが発生します。
積乱雲は縦長の雲なので、降雨の範囲は狭く、短時間に強く降ります。場合によっては雷やひょうなどを伴うこともあります。
この前線が通過した後は北寄りの風に変わり、気温が下がります。

温暖前線
寒気がゆっくりと、暖気の上に這い上がるようにしてできる前線です。この前線では寒気によって暖気が緩やかに持ち上げられるので、上昇気流が発生します。これによって乱層雲などの層状の雲が発生します。
乱層雲は薄く広がっている雲なので、降雨の範囲は広く、長時間に穏やかに降り続きます。
この前線が通過した後は南寄りの風に変わり、気温が上がります。

前線を伴った温帯低気圧
寒冷前線と温暖前線が低気圧にどのように伴っているのでしょうか?
下のイラストを見てください。

温帯低気圧は偏西風の影響で、西から東に向かって進んで行きます。
降雨域は寒冷前線に沿って狭い範囲、温暖前線に沿って広い範囲になります。また寒冷前線に向かって北寄りの風、温暖前線に向かって南寄りの風が吹き込んでいます。
偏西風についての詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。

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停滞前線
ほぼ同じ勢力の寒気と暖気がぶつかるとできる前線です。勢いが同じなのでほぼ動かずに同じ場所に留まります。まるで相撲で力士がぶつかって動かないような状況に似ています。
この前線付近では、厚い雲ができやすく、ぐずついた天気がしばらく続きます。
この前線には、形成される時期によってさらに別名があります。それは「梅雨前線(ばいうぜんせん)」と「秋雨前線(あきさめぜんせん)」です。

梅雨前線
この前線は、5月下旬から7月中旬頃に日本の上空に停滞して影響を及ぼします。
暖気である小笠原気団と寒気であるオホーツク海気団がぶつかることによって生じます。この前線は次第に南から北へと移動(北上)していきます。主に西日本に長雨に加えて集中豪雨や雷雨をもたらします。
秋雨前線
この前線は、9月上旬から10月上旬頃に日本の上空に停滞して影響を及ぼします。
暖気である小笠原気団と寒気であるシベリア気団・オホーツク海気団がぶつかることによって生じます。この前線は次第に北から南へと移動(南下)していきます。主に北日本や東日本にしとしとと弱い長雨をもたらします。
気団についての詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。

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閉塞前線(閉そく前線)
温帯低気圧が発達しながら移動するとき、寒冷前線が温暖前線に追い付いて、2つの前線が重なることによってできる前線のことです。
寒冷前線は、重い寒気が暖気を押しのけて行くので、前進するのに勢いがあります。一方、温暖前線は、軽い暖気がゆっくりと寒気の上に這い上がって行くので、そこまで勢いがありません。結果として、寒冷前線の方が温暖前線よりも移動速度が速くなります。

温帯低気圧とは … 中緯度地域(緯度30度~60度あたり)で発生し、暖気と寒気がぶつかることによって形成される低気圧のことです。通常は温暖前線と寒冷前線を伴っています。

閉塞前線には以下のような型があります。
- 後方から来た寒気の方がより気温が低いと、後方の寒気が前方の寒気を押しのけながら、進んで行きます。このような前線を寒冷型の閉塞前線といいます。
- 後方から来た寒気の方がより気温が高いと、後方の寒気が前方の寒気に這い上がりながら、進んで行きます。このような前線を温暖型の閉塞前線といいます。
つまり、より気温が低い方の寒気が重くなるので、下になります。

閉塞前線ができると、地上付近は全体的に寒気で覆われます。そうなると上昇気流は発生しなくなって雲は形成されなくなるので、次第に低気圧は衰えていきます。その後数日で低気圧は消滅します。


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