肝臓とは
肝臓は、ヒトの中で最も大きな臓器です。質量は個人差がありますが、成人で1kg~1.5kgあります(全体重の約2%を占めるといわれています)。位置は、正面から見てやや右側でお腹の少し上にあります。
ちなみに成人で、心臓は約250~300g、両肺で約1kgです。このことからも肝臓の大きさが分かります。
下のイラストを見てみましょう。ラグビーボールのような形をしていますが、左右は対称ではありません。また赤褐色です。なぜそのような色かというと、肝臓には血液が多量に流れているからです。成人で毎分1.5L以上の血液が流れ込みます。
心臓から送り出される約4分の1の大量の血液が流れ込みます。
肝臓の形と肝臓が人体の中でどのあたりに位置しているのか、イラストで確認しておきましょう。


肝臓の主要な働きは、これから考える次の3つになります。
養分を蓄える・胆汁をつくる・有害なものを処理する
養分を蓄える
食べた物(栄養分)が分解されて、タンパク質はアミノ酸、デンプンはブドウ糖に分解されます。それらの栄養分は、小腸の柔毛から毛細血管に吸収されて、血液の一部になって、肝臓に運ばれます。
その後はどうなるのでしょうか?
運ばれてきたアミノ酸を、体に必要な様々なタンパク質に変えられて、血液によって全身に運ばれます。例えば、血液凝固(出血を止める役割)のためのタンパク質が作られています。
運ばれてきたブドウ糖はグリコーゲンに合成して蓄えられます。その後、空腹時などの血糖値が下がったときに、再びブドウ糖に分解されて、血液によって全身に運ばれます。糖分は細胞のエネルギー源になるので、細胞が活発になります。このようにして血糖値は保たれます。
タンパク質・デンプンの分解については、以下の記事をご覧ください。

胆汁をつくる
胆のう(胆嚢)という器官は肝臓と消化管(十二指腸)の間にあり、西洋梨のような形をしています。上のイラストで確認できますが、正面から見ると、肝臓の下の方に小さくあります。

胆汁(たんじゅう)は、肝臓で常時つくられています。どんどん作られるので、胆のうで濃縮して一時的に溜められます。胆汁はすい液と合流し、消化管(十二指腸)に分泌されます。
胆汁は脂肪を分解・吸収しやすく助ける働きがあります。(胆汁は直接分解するわけではないので、消化酵素に含められません)
有害なものを処理する
アンモニア(NH3)は、腸内でのタンパク質の分解などによって発生する有害な物質です。アンモニアは血液によって肝臓に運ばれて、比較的無害な物質である尿素に変えられます。(アンモニアは、肝臓以外では筋肉中でも分解されます)
尿素とは … 肝臓でアンモニアから合成される無色・無臭の化合物です。この物質が、じん臓で血液中から尿素がこし取られて、尿の中に溶け込んで対外へと排出されます。
また、お酒などの含まれているエタノールも人体に比較的有害です。お酒を飲んだら、消化管から吸収されます。その後肝臓に運ばれて、無害な物質に分解されて、最終的に水と二酸化炭素になります。それから、尿・汗や呼気から排出されます。
エタノールとは … アルコールの一種で、一般的なお酒の中にエタノール(C2H6O)が含まれています。
このように、人体に有害な物質も、肝臓で無害なものに変えられて、体外に排出されます。
なぜ「化学工場」とよばれるのか?
肝臓は、この記事で考えたように、様々な化学変化が行われているので、「化学工場」とよばれています。この記事で考えたように、とても複雑な作業を並行してこなしている、タフな臓器といえます。
例えば、エタノールは最終的に水と二酸化炭素に分解されます。エタノールの化学式は、C2H6Oであることから、炭素原子・水素原子・酸素原子でできていることが分かりますが、肝臓内で次々と他の物質に分解されて、最終的に水(H2O)と二酸化炭素(CO2)に分解されます。水と二酸化炭素の化学式と比べると、実は全く異なる物質同士で、同じ材料からできていることが分かるのです。
このような複雑な化学変化が肝臓内で行われているので、肝臓は「化学工場」とよぶのにふさわしいといえます。


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