【化学】なぜ水を電気分解するのか?

学習Q&A 化学

熱分解と電気分解

分解は化学変化の一つです。化学変化とは、化学反応によって別の物質に変わってしまうことです。そして分解とは、物質が2種類以上の別の物質に分かれることです。

中学では熱分解電気分解の2種類の分解を学習します。熱分解といえば炭酸水素ナトリウムや酸化銀の分解が有名です。一方で電気分解といえば水の電気分解を思い浮かべると思います。ここで疑問が生じます。

なぜ水は熱分解しないのでしょうか?

炭酸水素ナトリウムの熱分解の詳細については、以下の記事のご覧ください。

【化学】なぜ炭酸水素ナトリウムは3つに分解できる?
炭酸水素ナトリウムがなぜ炭酸ナトリウム・水・二酸化炭素の3つの物質に分解されるのでしょうか? 化学式やモデル図などを使って解説します。

なぜ水は電気分解するのか? 状態変化から考える

炭酸水素ナトリウムは粉末であれば、約270度で分解されます。そして分解したそれぞれの物質は実験の中で確かめることができます。では水はどうでしょうか?

水はそもそも熱していくと100度近くになると蒸発して水蒸気になってしまいます。水蒸気は目に見えないのでその状態で結果を確かめることが困難です。つまり実験が不可能なのです。

仮に水蒸気の状態になってしまったとしても、水には変わらないので、その状態で頑張って水素と酸素に分解するとします。分解するためは何度必要でしょうか? 熱分解するには2000度の熱が必要だといわれています。そのような温度は日常では現実的ではあり得ません。そういうわけで水の熱分解は実質不可能なのです。

なぜ水は電気分解するのか? 化学変化から考える

まず水分子はHOです。この化学式より、水素原子2個と酸素原子1個が結合して水分子1個ができていることが分かります。これらの水分子をつくっている原子どうしはかなり強力に結びついています。原子の結合の詳細については高校化学で学習しますが、水素と酸素の原子どうしは、特性上ぎゅっと手を握り合っているような状態です。

このような強い結合の結果、水分子はかなり安定しているので熱しただけでは簡単に分解できないのです。

そのために水を分解するには、熱分解以外のほかの方法を使う必要があります。それは外部からエネルギーを利用して分解するという方法です。そのエネルギーとは電気エネルギーです。つまり電気の力を使って分解します。それで電気分解の装置を用意して電気分解を行うのです。

しっかりとくっついていて簡単に取れないものは、道具を使って取ります。そうすると取れます。それは、その道具がエネルギーを提供してくれるので取れるのです。水分子にも同じことがいえます。

水の分解で電気以外に必要なもの

先ほど説明した電気エネルギーで分解するため必要なものがあります。

まず、実験で使用する純粋な水は電気を通しません。電気を通すためには「イオン」というものが必要です。一般的な水道水には様々な種類のイオンは存在していますが、純粋な水にはイオンが存在していないので、水中にイオンが必要です。そこでうすい水酸化ナトリウムをとかして、水酸化ナトリウム水溶液にして、イオンがあるような状態にします。(イオンについての詳細は中学3年で学習します)

水酸化ナトリウムがイオンを提供してくれる。そのおかげで電気が流れて分解できる。

以上のことから水の分解には
電流を流すための装置水酸化ナトリウム水溶液 が必要なのです。

水の電気分解の化学反応式を確認しておきましょう。

2H2O → 2H2O2

上に書かれている水の分解の化学反応式は、一見シンプルに見えます。実はこの式では見えませんが、今回の記事で扱ったように、電気エネルギーやイオンを使われているのです。

最後に2種類の分解をまとめてみました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました